二本松の針路 三保市政の課題 ■上■ 観光振興 地域資源磨き魅力発信

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30日に投開票された福島県二本松市長選では、「市民が主役、市民とともに」をキャッチフレーズに掲げた現職三保恵一氏(76)が、観光振興や人口減少対策などを訴え、5選を果たした。合併20周年を迎えた市を導く三保市政5期目の課題と展望を探る。
三保氏は「地域の誇りに満ちた活力あるまち」を基本政策の一つに挙げ、「観光立市」の実現を目指している。「民間活力を生かし、地域が持つ資源を最大化して観光振興に取り組む」と意欲を示す。
市内には岳温泉や、日本百名山に数えられる安達太良山など、豊富な観光資源を抱えており、観光交流人口拡大は重要課題となっている。観光客数は新型コロナウイルス感染症などの影響で大きく落ち込んだが、2023(令和5)年に約304万人、2024年時点で約326万人と、徐々に増えてきている。しかし、コロナ禍前の約370万人の水準には及んでいないのが実情だ。今年の「二本松の菊人形」の来場者は目標の5万人に対し、3万7554人にとどまった。物価高による買い控えもあり、旅行消費額も伸び悩む。市の担当者は「観光資源をさらに磨き上げた上で、魅力をもっと積極的に発信していかなければならない」と強調する。
来春には大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」が予定されており、市は、にほんまつDMOなどと連携して、歴史や文化、自然を生かした体験型メニューの開発を進める。主要イベントの「二本松の菊人形」は来年、70回の節目を迎える。観光振興に向けては旅行者の滞在時間と宿泊数を延ばすことが重要。連泊需要を生み出せるようなコンテンツ作りや既存イベントの内容充実などが求められる。
桜や紅葉、菊人形など四季折々の景観やイベントと、城下町としての歴史資源をどう組み合わせて発信するかが「二本松ブランド」を育てる鍵になる。個人旅行が主流となり、観光需要が多様化する中、二本松ならではの体験の価値を高め、リピーターとなってくれるファンをいかに増やしていけるか。三保氏の手腕に期待がかかる。