二本松の針路 三保市政の課題 ■下■ 人口減対策 子育て支援充実に重点

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福島県の二本松市長選で5選を果たした三保恵一氏(76)は選挙戦で「人口減少対策が喫緊の課題」と訴え、小中学校の給食費無償化など子育て支援策の充実を重点に取り組むとの姿勢をアピールした。
2005(平成17)年に二本松、安達、東和、岩代の旧1市3町が合併し20年が過ぎた市内は、少子高齢化に伴う急速な人口減少に直面している。合併翌年の2006年4月に6万2695人だった人口は今年4月1日時点で4万9798人まで減り、合併以来初めて5万人を割り込んだ。さらに10月1日現在では4万9460人となっており、合併当初から2割ほど減った計算になる。2021(令和3)年度から10年間の指針となる市総合計画は2025年の人口を5万2491人とし、2030年でも5万人を維持する目標を掲げている。だが、目下の減少幅はこれを5年以上も上回るペースとなっている。
少子化の影響は大きい。昨年1年間の出生数は192人で、489人だった合併当初から半数を下回る。次世代の人口が細る中、地域経済やコミュニティーの維持を危ぶむ声が広がる。
市は事態の打開に向けて若者の結婚や出産、子育てを経済、環境の両面から支援する施策に注力してきた。新婚世帯向けに転居費や家賃などの一部を補助する事業や、結婚から妊娠・出産、保育、子育て、教育までを切れ目なく支える「こども家庭センター」の整備などを進めて若年世帯を支える。ただ、こうした努力の一方で、出生率の低下や若年層の転出には歯止めがかからない。
市秘書政策課は出生数・死亡数の差を示す「自然動態」、転入数と転出数の差を示す「社会動態」の両面で減少が続いていると分析。「二本松で子どもを産み育てたいと思ってもらえるよう、魅力や雇用を生み出さなければならない」と危機感を隠さない。
三保氏は選挙で「子どもは市の宝であり未来だ」と訴えた。学校給食費無償化を柱に、夢を育み健やかに成長できる環境を整えるとしている。年度内に取りまとめる2026年度から5年間の指針「第3期市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に、子育て支援策をどのように反映していくのか注目される。
旧市を含め通算4期、市政を率いてきた。経験を生かし、仕事と子育てを両立できる環境づくりや雇用の創出を進め、若者が希望を感じられる未来を示すことができるか。市民と協働で持続可能な古里を築くための新たな道筋が問われる。