帝国データバンク独自「予測値」 福島県内企業1割 倒産リスク高 2万3000社対象 物価高、人手不足など影響

  • [エリア] 福島市
帝国データバンク独自「予測値」 福島県内企業1割 倒産リスク高 2万3000社対象 物価高、人手不足など影響

福島のニュース


物価高や人手不足の長期化による企業倒産が相次ぐ中、帝国データバンクは信用調査などから独自に算出した指標「倒産予測値」をまとめた。福島県内企業で算出可能な約2万3千社のうち、1年以内に倒産する可能性がある「高リスク企業」は2252社(9・8%)に上った。全国平均8・7%を上回る水準。福島支店は物価高の長期化やトランプ米政権の高関税政策、新型コロナ禍関連融資の返済などで「企業の経営環境が好転する兆しは乏しい」として倒産リスクは年明け以降も高止まりするとみている。
予測値は帝国データバンクが信用調査で得た情報や企業の経営状況、後継者の有無、業界全体の動向などを基に、6月末時点から1年以内に倒産する確率と企業が抱えるリスクを10段階で評価した指標。1段階目が最もリスクが低く、8~10段階目に当たる場合を「高リスク企業」とした。
現在の算出方法となった2019年以降の県内高リスク企業の数と割合は【グラフ(1)】の通り。半年前の昨年12月末と比べ、18社(0・1ポイント)増えた。新型コロナ感染拡大による売り上げ急減に伴う2021(令和3)年の2355社(10・2%)が最高で、それ以降は減少傾向だったが、2024年から再び増加に転じた。
業種別の内訳は【グラフ(2)】の通り。建設が692社と最も多く、半年で46社増えた。人手不足や資材価格の高止まりが構造的な問題として影響していると分析。特に小規模事業者は経営体力の限界に達しつつあり、倒産が増加する可能性があるとみている。
製造は58社増加の487社だった。コストの価格転嫁ができるかで二極化が進み、価格交渉力の弱い中小企業は原材料費や人件費の上昇に苦しみ、リスクが顕在化しているという。
従業員数別では、5人未満が1324社(58・8%)で最も多かった。10人未満に広げると、高リスク企業の約8割を占める。小規模事業者の厳しい経営状況が浮き彫りとなった。
支店のまとめでは今年1~11月の県内企業倒産件数は89件。前年同期から23件減少したものの、高水準が続いている。鎌田守康支店長(54)は「競争にさらされない強みをいかに見つけられるかが大切だ」とし、デジタル変革(DX)などで各社が独自性を磨き上げる重要性を指摘する。
鎌田支店長は全国各地で相次ぐ熊の出没などが外出意欲に影響を与える可能性にも言及。人出の減少は飲食業やサービス業の売り上げ減につながる懸念があり、「企業を取り巻く新しいリスクが顕在化してきている。業界全体で現状や意見を集約し、課題解決を進める姿勢も重要」と話す。
県は、弁護士や中小企業診断士らでつくる「オールふくしまサポート委員会」による支援策提案制度などを通じ、中小企業の事業継続を支援している。■材料、電気代高騰
製造業幹部「厳しい」
資材高騰や人手不足に直面する県内企業の関係者からは経営の苦しさを嘆く声が上がる。福島市に本社を構える基板製造業の男性幹部(44)は作業過程で使用する「はんだ」の単価がここ2~3年で約5割上がったと言う。材料となる銀の価格も倍になり、機械稼働に欠かせない電気代なども上昇。「経営はとても厳しい」と打ち明ける。専門性の高い技術が求められる一方、若手がなかなか定着せず、人手確保にも手を焼く。所得税など多額の税負担も悩みの種で「少しでも緩和してもらえるとありがたい」と話す。■11月倒産
全8件が不況型
福島支店発表
帝国データバンク福島支店は2日、11月の県内企業倒産状況を発表した。負債額1千万円以上の法的整理による倒産件数は8件で前月から1件減少した。8件全てが不況型倒産で、主な要因は販売不振だった。負債総額は前月比7億6300万円増の14億8500万円だった。
業種別に見ると、卸売と小売が各2件、建設、製造、サービス、不動産が各1件だった。