福島のニュース
福島大(福島市)の学長選考・監察会議で次期学長候補者に選ばれた佐野孝治氏(62)=福島大理事・副学長(総務担当)=は2日、福島民報社のインタビューに答え、2027(令和9)年度の全学再編を機に地域での存在感をさらに高めていく考えを示した。(聞き手・編集局長
角田守良)■2027年度に4学部制
―3学群5学類から4学部制にする全学再編を2027年度に控えての就任となる。
「研究力や教育力、社会貢献力で北関東、東北地域を代表する共創の拠点にしたい。一つのキャンパスに教職員がまとまり、主体的に動ける人が多いのが福島大の強みだ。力を結集し実現を目指す。福島大が地域の宝だと思ってもらえるよう、先頭に立つ」
―全学再編を巡っては付属幼稚園の閉園や芸術・表現系の課程廃止などに懸念の声がある。
「付属幼稚園は少子化や財政的な問題がある。閉園方針の撤回は難しいが、懸念の声を重く受け止めており、丁寧に説明を重ねる。培った蓄積をしっかりと継承していく。芸術・表現系の廃止は苦渋の決断。役割の大きさは認識している」
―東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興と地域活性化は福島県の大きな課題だ。地域未来デザインセンターを核に、どう地域に貢献していくか。
「産学官連携を強めることが重要だ。発見した課題を解決するための方策を考え、社会実装化していく仕組みを整える。研究成果などをアピールする窓口にしたい」
―財政基盤の強化に向けた考えを伺う。
「外部資金のさらなる獲得が必要だ。研究力を高め、共同研究や委託研究を進めていく。施設の老朽化については、最先端の設備で研究できるような環境づくりに重点を置く。理系分野の研究を進める拠点をつくりたい。予算に限りはあるが任期中に実現したい」
―自身が座長となり、多様性などを意味するDEI宣言を策定した。
「性差、障害の有無、国籍などにかかわらず、さまざまな人が働いたり、学んだりしやすい環境を整えるのが大学の責任だ。DEIの考え方を広げていく」
福井県越前市出身。慶応大経済学部卒、慶応大経済学研究科博士課程単位修得退学。専門は開発経済学、外国人労働者など。1995(平成7)年に福島大助教授に就任し、2006年に同大教授となった。2017年に経済経営学類長、2020(令和2)年に副学長に就いた。2024年から現職の理事・副学長(総務担当)。62歳。

