福島市高湯温泉の硫化水素中毒事故　再発防止へ安全手引書　観光協が源泉管理作業で策定

福島市の高湯温泉で２月にホテル関係者３人が源泉管理のため入山し、硫化水素中毒で死亡した事故を受け、高湯温泉観光協会は源泉管理時の作業マニュアルを策定した。硫化水素の濃度測定や積雪時の作業手順などを定め、各温泉施設が手順を徹底する。環境省によると、温泉地が源泉管理の統一的な作業マニュアルを設けるのは全国的に珍しいという。
マニュアルは高濃度の硫化水素が発生する場所には立ち入らないよう徹底すると明記。具体的な対策として▽防毒マスクの常時着用▽検知警報器の携帯して濃度を常時確認し、人体に影響が及ぶとされる１０ｐｐｍを超えた場合は速やかに退避▽積雪の際はハーネス型安全帯やロープを用い、硫化水素が滞留する雪洞に墜落しないようにする▽事故が起きた場合は安全が確保できるまで救助を行わない―などを定めた。
硫化水素を出す可能性のある源泉から湯を引く際は配管内に温泉成分が詰まるため、定期的な管理作業が必要になる。２月の事故は管理作業中、積雪でくぼ地状になった場所に高濃度の硫化水素が滞留して引き起こされたとみられる。
環境省のガイドラインは複数人での作業や、防毒マスクの着用などを推奨している。高湯温泉では安全管理の内容を各施設に任せてきた。協会としてより具体的な作業手順が必要と判断し、専門家から助言を得てマニュアルを策定した。
４日は各施設の担当者を対象に研修会を開いた。高湯温泉観光協会の遠藤淳一会長＝吾妻屋＝は「二度と事故を起こさないよう、マニュアルを順守する」と話した。【協会が定めたマニュアルの要点】・防毒マスクを着用する・検知警報器を携帯し、１０ｐｐｍ以上では速やかに退避する・複数人で作業を行い、場所、内容、時刻を記録する・積雪時はハーネス型安全帯やロープを使用し、雪洞内に墜落しないようにする・事故発生時は安全が確保できるまで救助を行わない