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来年2月21日に福島市の県立美術館で開幕する「福島県政150周年・東日本大震災15年
大ゴッホ展
夜のカフェテラス」に向け、地域が盛り上げに動き出した。市中心部の飲食店は、光と闇を宿したゴッホの作品を思わせるメニューを開発し、市は広報で後押しする。市へのふるさと納税の返礼品に観覧券購入に使える電子クーポンが採用され、8日に受け付けが始まった。開幕まで2カ月半。「炎の画家」の名画を県都に迎える準備が整いつつある。
「県内外から観光客が来る。市全体で協力して盛り上げたい」。福島市万世町の「ワインバーホシノ」のオーナー星野和宏さん(46)は思いをはせる。ゴッホの作品を連想できるつまみメニューを考案する。
ゴッホは南仏アルル時代、陽光が輝く絵画を描いた半面、初期や最晩年は暗い色合いの作品を残し、生涯で作風が大きく変わった。星野さんは作品を参考にどんな食材を生かすか思案中。「多くの人に喜んでもらえる料理を提供したい」と青写真を描く。
市内のサイトウ洋食店も新規メニューを提供する。深い青が印象的な夜の闇にカフェの明るい光が映える人気作「夜のカフェテラス」をモチーフにする。夜の雰囲気を醸し出す青い皿に明かりを表すオムレツを盛り付けるつもりだ。
先行して開幕した神戸展では「飲む名画」をテーマにしたデザートドリンクが商品化され、話題となっている。民間の多彩な誘客策を応援しようと福島市は、通年議会12月定例会議に提出する一般会計補正予算案に250万円を盛り込んだ。メニュー開発、アレンジを市中心部の飲食店に働きかけ、メニューは特設ウェブサイトや交流サイト(SNS)で発信する。
観覧券購入に使える電子クーポンをふるさと納税の返礼品に採用した背景には、市外から足を運んでもらう狙いがある。5千円の寄付に対し1500円のクーポンを発行する。枚数は100枚で、受け付けは来年4月10日まで。クーポンは前売り券、観覧券いずれにも利用可能だ。前売り券は現在、販売されている。
4月10日に開幕する芸術祭「アラフドアートアゲイン」を開催する市内の土湯温泉の関係者は、大ゴッホ展に訪れる人へのサービスを企画中で、相乗効果を模索する。土湯温泉観光協会常務理事兼事務局長の菊地大輔さん(40)は「土湯温泉と大ゴッホ展を行き来してもらえるようにしたい」と話している。■交通環境整備進む
美術館周辺など
来年5月10日までの大ゴッホ展会期は、大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」と重なり、市内で交通環境の整備が進む。
県立美術館に一般向けの駐車場はなく、福島交通飯坂線やバスなどを使う観覧者が徒歩で来訪することに備え、美術館周辺では歩道整備が実施されている。
福島交通は飯坂線の県立美術館最寄り駅「美術館図書館前駅」と「福島駅」間の特別割引乗車券の販売を予定。福島交通鉄道部長の千葉正人さん(53)は「交通面から盛り上げに寄与したい」としている。大ゴッホ展 福島展

