【師走 ひと模様】模型介した縁に感謝 福島県いわき市平南町「いいじまホビー」店主の飯島育子さん

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【師走 ひと模様】模型介した縁に感謝 福島県いわき市平南町「いいじまホビー」店主の飯島育子さん

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福島県いわき市平南町の「いいじまホビー」は来年1月末、79年の歴史に幕を下ろす。模型やプラモデルの店として地域に愛された。店主の飯島育子さん(82)は商品箱が天井まで積み上がったフロアで常連客を迎えている。







創業者は伯父の登[たか]司[し]さんだ。川西航空機で戦闘機「紫電改」などの設計に携わり、戦後は数学教師に転じた。航空機への熱を捨てきれず、1947(昭和22)年に店を構えた。飛行機に鉄道、自動車…。3フロアを模型が埋める品ぞろえで工作少年をとりこにした。
最盛期は昭和末期~平成始め。年末には小遣いを握りしめた小学生でごった返した。作り方や操縦に詳しい登司さんを慕う3世代のファンも。震災で店が半壊しても、規模を縮小して再開した。2018(平成30)年に先代が94歳で旅立ち、店員から2代目となった。







決断の理由は模型離れだ。「今の子はスマホやゲームだから」と時代の変化を肌で感じる。愛好家も通販に流れ、「一番の幸せ」だった目当ての品を手にした笑顔を見る機会は減った。それでも、閉店を惜しむ「元少年」たちが遠くから訪ねてくれる。一人一人に「ありがとう」を伝える。