岳温泉の千本桜後世へ 福島県の浪江町民と守る会発足 一般の参加も募る

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岳温泉の千本桜後世へ 福島県の浪江町民と守る会発足 一般の参加も募る

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福島県二本松市の岳温泉に、湯のまちを彩る桜の継承を目指す「岳温泉千本桜を守る会」が発足した。東日本大震災発生後、岳温泉と浪江町の有志が維持保全に力を合わせており、一般の参加者を募って、守る会として9日、桜の手入れ作業を始めた。
岳温泉には、桜のトンネルとなる名所「桜坂」などに約800本のソメイヨシノがあるが、樹齢100年を超える木も多く、てんぐ巣病が発生するなど老朽化が進んでいる。震災と東京電力福島第1原発事故発生後に浪江町民が岳温泉に避難したことが縁で、桜に詳しい町民有志が恩返しにと、2012(平成24)年から手入れに協力してきた。岳温泉観光協会は継続的な保全体制を考えていくため、浪江町の「絆さくらの会」と連携して守る会をつくり、観光庁の補助を受けて、桜の保護育成と観光集客を図ることにした。
初回は岳温泉観光協会、絆さくらの会と、一般参加者合わせて15人ほどが作業した。絆さくらの会の小黒敬三会長(69)が講師を務め、桜坂などの桜の状態を見極め、枯れ枝を切り払った。いわき市の会社員藤原忠さん(67)は「山登りが好きで、安達太良山に登る際に何度も岳温泉に来ている。桜の手入れを手伝ってみたいと思い参加した」と語った。作業に先立ち、岳温泉旅館協同組合の鈴木安一理事長(78)が「千本桜を千年桜とするように取り組みたい」と呼びかけた。
手入れ作業は10日と来年1月20、21の両日も実施する。時間は午前9時から午後3時までで、定員は各回15人。参加無料。参加者は当日の温泉入浴が無料になる。岳温泉観光協会の二瓶明子会長(47)は「浪江と二本松、各地の人たちの思いがこもる桜を大切にしていきたい」と話している。
守る会は会員を募集している。入会時に「ニコニコパスポート」と岳温泉オリジナルタオル、地域通貨500コスモを贈る。会員証を岳温泉の協力店舗で提示すると特典を受けられる。申し込み、問い合わせは岳温泉観光協会へ。