福島のニュース
ドローン配送の実現に向けた国の地域課題解決連携特区(連携絆特区)に指定されている福島県は9日、福島県南相馬市鹿島区で、目視なしの自動操作で人がいる地帯を飛ぶ「レベル4飛行」を実証した。ドローンのレベル4飛行は県内初で、鉄道の上を横切ったのは国内初。ドローン配送の社会実装へ前進した。
実証はドローン製造業イームズロボティクス(南相馬市)が主体となり、デロイトトーマツコンサルティング(東京)などと共同で行った。ドローン製造ACSL(東京)が、最も高度な安全性を証明する国の第1種型式認証を取得した機体を提供し、操縦を担った。佐川急便やJR東日本なども協力し、安全面などを検証した。
贈答品の配送や集荷を想定し、東西3・5キロ、南北2・4キロのエリアで国道6号や常磐線の上空を飛行した。国道6号沿いの佐川急便相馬営業所から前川原グラウンドまでの3・7キロで贈答品を運搬。荷下ろしした後、前川原グラウンドから武田ファームまで1・3キロを移動し、武田ファームでクリスマスプレゼントを積み、相馬営業所まで4・6キロを運んだ。全て、計画通りに完了した。
運航に当たったイームズロボティクス事業推進本部の銭谷彰副本部長は「実証を増やしてドローンの安全性を示したい」と述べた。県次世代産業課の植田隆太課長は「特区として実績を重ね、経験を蓄積することが社会実装につながる。まずはその一歩になった」と評価した。
国への許可申請は、従来の航路ごとではなく、エリア内で一括した。ただ、計画から許可まで約4カ月かかった。実用化に向けては、運搬できる荷物の重さを増やしたり、1人で複数台を操作したりといった技術面の向上に加え、安全面を担保する制度の確立も求められる。

