「もしもの備え」一段と 備蓄、避難行動再確認 初の「後発地震注意」 福島県沿岸気を引き締める

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「もしもの備え」一段と 備蓄、避難行動再確認 初の「後発地震注意」 福島県沿岸気を引き締める

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青森県沖の地震に伴う「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で、注意対象となった福島県沿岸10市町は地震、津波に一層の備えが必要となる。平時より大地震の確率が相対的に高まる一方、事前避難の要請や社会活動の制約はない。住民や事業者、行政は万一を意識しながら日々を過ごす。14年半前の東日本大震災を教訓とした防災情報への理解は一般に浸透しているか。初めての事態に手探りの対応が続く。
海沿いの住民は9日、震災の経験を念頭に備蓄状況や避難行動を再確認した。
南相馬市小高区に一家7人で暮らす公務員樋口佳大さん(31)は飲料水の備蓄をまずは気にかけた。自宅がある一帯は震災で浸水。市の防災マップ上では最大1メートル超の津波の到来が想定される。普段から玄関先に食料や水、モバイルバッテリー、防災トイレなどを常備しているが、今回の地震を受けて水を買い足した。万一の際はより安全な市内原町区の親戚方に身を寄せる。9歳の長女と地図を広げ、「自宅からどう逃げるか。家族で具体的に共有したい」と気を引き締めた。
いわき市の豊間区長橋本和彦さん(78)も震災を思い返し「危機感を持って生活しなければ」と警戒した。当時の豊間地区630世帯中、約400世帯が津波に遭った。住民が徐々に戻り、震災後に新たに移り住んだ若者も多い。「水や食料など自分で用意できる物は準備して」と呼びかける。
福島地方気象台の大和田淳地震津波防災官(57)は「必ず地震が発生するわけではなく、避難を呼びかける情報でもない。普段の生活をしてほしい」と注意情報を説明し、冷静な対応を促す。ただ、大規模地震の発生確率が相対的に高まっているとして「日頃の備えを再確認するきっかけにして」と述べた。







南相馬市原町区のガソリンスタンド「高橋治郎商店原町SS」は9日も通常営業した。社長の高橋順さん(61)は車列が続いた震災直後と異なり「普段と変わりはなかった」と安堵[あんど]する。相双地方や宮城県でスーパーを展開するフレスコ(本社・相馬市)でも買い占めなどの動きは見られなかった。
ガソリンスタンドやセメント販売を手がける根本通商(いわき市)は企業活動を維持する体制を整える。総務部長の鴨陽一さん(70)は9日、本社脇の倉庫に収めた備蓄物資の状態や数をチェックした。社員に分配する水や食料、マスクなどを3日分ほど備えている。「いわきの揺れは大きくなかったが、油断せず過ごしたい」と話した。