除排雪、迅速化へ連携 県道にまとめ効率搬出 福島県と各市町村

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除排雪、迅速化へ連携 県道にまとめ効率搬出 福島県と各市町村

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会津地方を中心に襲った2月の豪雪を教訓に、福島県は今冬から、市町村と連携する新たな道路の除排雪の手法を導入する。これまで別に行っていた交通の妨げとなる雪の片付けや運び出しなどで協力し、作業の迅速・効率化を目指す。当面は豪雪時に交通渋滞が発生した会津若松市での導入を想定。成果を確認しながら対象地域を段階的に広げる方針だ。県内で建設業界の高齢化や人手不足が深刻化する中、限られた人材や重機を有効活用することで冬季の防災力を高める。
11日の12月定例県議会代表質問で矢沢敏幸土木部長が自民党の鈴木智議員(いわき市)に答えた。
新たな除排雪の概要は【イメージ】の通り。大雪時に市町村道の除雪を担当する事業者が、接続している広い県道に雪を押し出す仕組みを想定。県から委託された除雪事業者が県道だけでなく市町村道から運ばれた雪も同時にダンプカーに積み込んで運搬する。別々に雪捨て場に運び出すよりも回数を抑えられるため、作業時間の短縮、労力や経費の節減につながる。道幅が狭く、雪の置き場がなくなることが多い市町村道で運び先の確保だけでなく、運搬の省略によって作業の迅速化が図れるという。
運用に当たり、県と市町村で実施する目安を定める。厳格な基準を設けず、「車両の通行に支障が生じる降雪が見込まれる場合」など柔軟に対応できる仕組みとする。このうち県と会津若松市は昨冬の混乱を踏まえ、実施対象区間などを既に決めており、優先度に応じて早急に対応できる連携体制をつくった。
2月の大雪の際、複雑な形状の道路が多い会津若松市では、市道などで委託業者や個人による除雪で多くの雪山が発生。排雪が追い付かず、交通に大きな影響が出た。現場から「県と市町村で作業を厳密に分けると処理が難しい場合があった」との声も出ていたという。同市の除排雪を担う会津道路メンテナンス協同組合の弓田八平理事長=弓田建設社長=は除排雪作業の大幅な時間短縮の効果を期待。地域でダンプカーなど重機の数にも限りがある課題の改善にもつながるとみられるという。
除排雪作業の円滑な実施では、通行止めが必要なケースも想定される。県道路管理課は「効率的な作業には地域住民の理解が不可欠。協力を丁寧に呼びかけたい」と情報発信を強化する方針を示した。