福島大の尾形慎教授に箱守仙一郎賞奨励賞 新粒子の開発論文が評価 最後のチャンスで栄誉射止める

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福島大の尾形慎教授に箱守仙一郎賞奨励賞 新粒子の開発論文が評価 最後のチャンスで栄誉射止める

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福島県の福島大食農学類の尾形慎教授(45)=糖質化学、糖鎖工学=が、糖脂質研究の権威の名前を冠した箱守仙一郎賞奨励賞を受けた。45歳までが選ばれる賞で、最後のチャンスで栄誉を射止めた。福島大からの受賞は初めて。
箱守仙一郎賞は東北医科薬科大分子生体膜研究所が授与する。国内の糖鎖化学研究を発展させようと、東北地方、新潟、群馬両県の若手研究者を顕彰している。45歳以下を対象とした奨励賞、学生らの優秀論文賞を設けている。
新たな粒子「ナノハイドロゲル粒子」の開発成果をまとめた論文が評価された。これまでガラスや金を用いていたのを、木質のセルロースなど天然素材に置き換えて安価に抑えた。カニの殻、牛乳も活用している。精密に構造を整え、タンパク質などを吸着する性能が高まっているという。粒子は病原性ウイルスの捕捉などにも活用できる。基礎研究のさらなる推進が期待され、県外の研究機関から引き合いがある。
賞の名前となった箱守氏はがん細胞の糖鎖不全を研究するなど功績を残した。2020(令和2)年11月に91歳で死去した。尾形教授は「尊敬する箱守先生の賞を受けられたことは大変光栄。しっかりと研究に注力せねばと責任を感じている」と盾の重みをかみしめた。