「1週間」後も備え続く 防災意識高める機会に 福島県内沿岸10市町、設定期間経過 後発地震注意情報

  • [エリア] 相馬市 南相馬市 いわき市
「1週間」後も備え続く 防災意識高める機会に 福島県内沿岸10市町、設定期間経過 後発地震注意情報

福島のニュース


青森県沖を震源とする震度6強の地震を受け、初めて発表された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は16日午前0時で、「特別な備え」を呼びかけられた1週間が過ぎた。福島県内に大きな被害や混乱はないが、期間設定は社会・経済活動を保つ目安に過ぎず、地震や津波の危険は消えるわけではない。対象となった沿岸10市町で昼夜を問わず警戒態勢を敷いた行政関係者、登下校に送迎を求めた教育現場は日常にシフトしつつも備えを怠るまいと誓う。高齢者を預かる福祉施設は「命を守る行動を常に意識する」と肝に銘じる。
南相馬市が同市原町区のひがし生涯学習センターに開設した自主避難所では15日、山田利広所長(64)が災害用寝具などの備蓄品を改めて点検した。「不安を感じる住民を受け入れる環境を整えるのは大切だ」。同日夕までに実際の利用はなかったが、「普段通りの生活」を続けながら受け入れ態勢を整える重要性を口にした。16日午前8時30分に避難所を閉める。
市役所も注意情報発表以降、休日・夜間を問わず危機管理課の9人が交代で情報収集や警戒に当たった。警戒期間が長引けば通常業務に支障を来すため、16日午前8時30分を境に平常態勢に切り替わる。木幡孝行課長(52)は「24時間態勢を職員が経験した意義は大きい」とし、今回の対応を検証して教訓を今後に生かす考えだ。市は防災メールや交流サイト(SNS)などを通じ、平時からの心構えを市民に促すという。
注意情報に合わせ、政府はお年寄りや子どもら「災害弱者」への警戒、備えの強化を県などに要請した。
沿岸から約4キロにある南相馬市原町区の特別養護老人ホーム「福寿園」は2011(平成23)年の東日本大震災の教訓を踏まえ、普段から利用者の避難に必要な燃料の残量に留意し、満タンに保つよう努めている。今回の注意情報を受けて通常の心構えに加えて食料などの備蓄量も確認した。菅原武施設長(62)は「災害対応を再確認し、利用者の安全確保に尽くす」と警戒の手を緩めない。
相馬市の磯部小では注意情報の期間中、海沿いの通学路を歩く児童の保護者に登下校時の送迎を要請してきた。伏見哲矢教頭(57)は「注意情報が終わっても防災意識を高く保ち、命を守る行動を取ってもらいたい」と願う。今後も安全な登下校の方法については各世帯と相談するという。
福島地方気象台は後発地震が起きなかった場合も日頃の備えを継続するよう呼びかけており、観光施設も意識を高めている。沿岸に近い、いわき市の「道の駅よつくら港」の白土健二駅長(62)は「注意情報の有無にかかわらず、普段から津波などへの心構えを怠らないようにしている」と一過性としない姿勢を口にした。■全国の負傷者46人
8日以降の地震による負傷者は15日時点の集計で46人で、青森県31人、北海道11人、岩手県4人。共同通信の集計や取材では9千人以上が避難した。