福島のニュース
来年1月2、3の両日に行われる第102回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)には県勢11人がエントリーされた。学法石川高出身の4年生3人が最後の力走を誓う。大東大の戸田優真(22)=会津若松市出身=は交通事故を乗り越え、初めてエントリー選手に選ばれた。早大の山口智規(22)=千葉県出身=、東京国際大の菅野裕二郎(22)=郡山市出身=は主将としてチームをけん引する。進む道は違ったが、互いの存在を支えに切[せっ]磋[さ]琢[たく]磨[ま]してきた。「同期に負けない走りを見せたい」。強い覚悟で箱根路に向け最後の追い込みをかける。■大東大・戸田
けが乗り越え夢舞台へ
大東大の戸田にとって箱根路は中学時代から目指してきた夢舞台。「ようやく希望が見えた」。山下りの6区の有力候補に挙がっており「山の大東」の名をとどろかせるチャンスだ。
3年前の大みそかの練習中、交通事故に遭った。右足首の靱帯[じんたい]や腰を痛め、完治に約5カ月を要した。箱根を走れない、現地に行くのも難しい…。悔しくて落ち込んだ。復帰してからは新たな悩みにぶつかった。もともと、物事に対して気持ちが熱くなるタイプ。けがが癒え、結果を出したい思いが焦りにつながった。レースになると気持ちが空回りし、タイムが伸び悩んだ。それでも「落ち込んでいる暇はない」と切り替えた。「心は熱く、体は冷静に」との意識を持ち、結果も上向きになった。
古里の会津は勾配のある道が多く、坂の上り下りを得意とする。大学2年の頃から6区に照準を合わせ、今年は傾斜の厳しいコースを走り込んで脚力を磨いた。本番を想定した11月のトライアルでは同区間を目指した2年前の記録を大幅に更新。ようやく各大学のトップと戦える位置にたどり着いた。
ここまで頑張れたのは、友人であり、ライバルでもある山口、菅野の存在が大きかった。高校時代から自分より速かった2人。身近にレベルの高い選手がいたため、「負けていられない」との思いが強くなった。
箱根を最後に競技の一線を退く。高校からの寮生活で弟、妹と離れて過ごす時間が長かった。「頑張っている兄の姿を見せたい」と意気込む。1月1日は母の誕生日でもある。山下りは3日。感謝を体現する走りで「2日遅れ」のプレゼントを届ける覚悟だ。■早大・山口
タイトル奪還へ覚悟
前回総合4位だった早大は15年ぶりの総合優勝を狙う。主戦の山口は3年連続2区での出走が予想される。「強い早稲田が帰ってきたという証拠を見せたい」。タイトル奪還への覚悟をのぞかせた。
3月にオーストラリア合宿に参加して世界レベルに触れた。競技との向き合い方を考え直すきっかけを得るなど大きな収穫があった。6月の日本インカレで1500メートルと5000メートルの2冠を達成。7月の日本選手権では、1500メートルで日本人学生歴代4位の3分38秒16をマークして2位になるなど躍動した。
主将としての責任を感じ、「情けない姿を見せてはいけない」と気を引き締める。背中を見せてチームをまとめることを意識し、競技面だけでなく私生活でも模範生を心がけてきた。思いはメンバーに伝わったと感じており、頂点への手応えを感じている。「一人でも多くの人が(早大カラーの)エンジに憧れるような姿を見せる」。集大成の舞台で活躍を誓う。■東京国際大・菅野
区間賞獲得へ意欲
2年連続出場の東京国際大は5強崩しに向けて闘志をみなぎらせている。前回9区を走り、四つ巴のシード権争いに貢献した菅野は「今回はエースが集う3区を走って区間賞を獲得したい」と高みを見据える。
日本人エースを担う今年は走る距離を延ばしてスタミナを強化した。総合8位だった前回の主力が抜け、過渡期にあるチームをまとめようと主将に立候補。選手同士の仲が良いあまり、練習の雰囲気づくりに手を焼き、シーズン前半の成績は振るわなかった。活を入れるなど責任感を持って接し、チームは最高の状態に仕上がってきた。「最後の箱根を全力で楽しみたい」と本番を心待ちにする。◆箱根駅伝でエントリーされた福島県関係選手▽駒大=新谷倖生
(3年、田村高出身)
谷中晴
(2年、帝京安積高出身)▽早大=山口智規
(4年、学法石川高出身)
山崎一吹
(3年、学法石川高出身)▽東京国際大=菅野裕二郎(4年、学法石川高出身)▽東洋大=薄根大河
(3年、学法石川高出身)▽日大=橋本櫂知
(2年、学法石川高出身)▽東農大=菅野優空
(2年、学法石川高出身)▽大東大=戸田優真
(4年、学法石川高出身)▽立大=野口颯汰
(3年、学法石川高出身)▽関東学連=大湊柊翔(明大3年、学法石川高出身)◆福島県出身の監督▽駒大=藤田敦史
(白河市出身)▽東洋大=酒井俊幸
(石川町出身)

