福島のニュース
福島県内で中学まで心技体を磨き、さらなる成長の場として栃木の強豪を選んだ高校生アスリートが、主将として最後の冬に挑む。全国高校ラグビー大会に出場する国学院栃木のセンター(CTB)福田恒[つね]秀[ひで]道[みち]選手(3年、二本松市出身)と、全国高校サッカー選手権大会に挑む矢板中央のゴールキーパー(GK)金沢楓選手(3年、石川町育ち)だ。福島との絆を大切にしながら逆境や苦難を乗り越え、日本有数のチームの主軸となった2人の目標は「日本一」。全国から注目される決戦の舞台で最高のパフォーマンスを誓う。■ラグビー
福田恒秀道(国学院栃木、二本松市出身)
速さを磨き局面打開
「花園」の準優勝経験を持つ名門国学院栃木でバックスの一角を担う福田恒秀道選手。身長170センチとラグビー選手では比較的小柄だが、持ち前の鋭い足さばきと速さで局面を切り開くプレーが持ち味だ。
早稲田大などでプレーした父恒輝さん(49)の影響でラグビーを始めた。本格的に競技に打ち込むようになったのは二本松一中1年の頃。地元で練習を重ねながら週末に東京のクラブに通った。動きやパス、状況判断など小柄でも戦える技術を学んだ。父の勧めで多彩なスポーツを経験し、当たりの強さなどを養った経験が土台になっている。
日本一を目指して国学院栃木に進んだ。現在の部員は108人。全国大会常連の中でも力を認められ、昨年の花園では全試合に先発出場した。準決勝で王者桐蔭学園(神奈川)に敗れ体力や試合運びで壁を感じた。「絶対に日本一になるという気持ちが足りなかった」と精神面での課題も振り返る。悔しさを糧にフィジカルと速さに磨きをかけた。春の全国選抜で初戦敗退となったが、7月の全国高校7人制ラグビー大会で初優勝の原動力となった。
福島からのエールが活躍を後押ししている。今月の全国大会を目前にした練習にも恒輝さんが駆け付け、主将としてフィフティーンをまとめるわが子を見守った。恒秀道選手は「離れて暮らしていても、応援してくれているのは力になっている。支えてくれた仲間や指導者への感謝を胸に、全てを出し切り恩返ししたい」と決戦を前に古里への思いを語った。■サッカー
金沢楓(矢板中央、石川町育ち)
「守護神」成長を証明
関東有数の名門矢板中央のGK金沢楓選手は身長190センチの恵まれた体格を誇りピッチで存在感を放つ。一時部員が4人だった石川中から、強豪の部員約220人をまとめる立場に成長。昨季はU―17日本高校選抜候補に選ばれ、初優勝を目指すチームをけん引する。
須賀川市で生まれた後に関東に引っ越し、幼少期に石川町に移り住んだ。父が指導していた地元のスポ少「ケップ・オーレ石川JSC」に小学生から所属した。石川中2年の時にGKになったが3年生が引退すると部員数が激減。厳しい環境でもプロ選手の夢をかなえるため、鍛錬を続けた。
「県外でレベルアップしたい」。高校は声をかけてくれた隣県の矢板中央に進学。プロチームのジュニアユースや強豪クラブの出身者がひしめくチームで「無名の選手」としてスタートした。レベルの高い同年代に負けまいと研さんを積む中で次第に頭角を現した。長身ならではのハイボール処理と局面を変える正確なロングフィードを武器にスタメンを勝ち取り、今夏から主将に。「技術もメンタルも大きく伸びた3年間」と振り返る。
チームは全国高校総体(インターハイ)の県予選で敗退した。それだけに冬の選手権に懸ける思いは強い。今も交流を続ける福島の仲間にも最高のプレーを見てほしいとの思いを抱く。「日本一を目指すのはもちろん『チームを救い、勝たせるキーパー』として存在感を示したい」。大型守護神は全国の舞台で成長を証明する。

