いわき信組 旧経営陣を提訴 元会長ら20人に32億円請求

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いわき信組 旧経営陣を提訴 元会長ら20人に32億円請求

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巨額の不正融資や反社会的勢力への資金提供が明らかになっているいわき信用組合(本部・福島県いわき市)は19日、第三者委員会や特別調査委員会の調査で一連の不祥事に関与したと認定された江尻次郎元会長ら旧経営陣20人に約32億円の損害賠償を求めて地裁いわき支部に提訴した。
信組によると、訴訟対象の20人は委員会の調査などにより2004(平成16)年以降、一連の不祥事に関与していたと認定された元常勤役員(理事・監事)。信組は江尻元会長以外の名前を明らかにしていないが、同年以降のほとんどの常勤役員が対象になっているもよう。特別調査委の調査で不正に外部に流出したと認定された損失額25億5100万円に加え、実態解明調査などに要した費用を、20人連帯して支払うよう請求している。
迂回融資、無断借名融資、水増し融資、反社会的勢力に対する資金提供を行った他、第三者委員会の調査に対し証拠隠滅や虚偽の答弁を行うなどの妨害をし、信組に損害を与えたとしている。■全容解明へ新たな局面
いわき信組旧経営陣提訴
民事・刑事責任追及へ
不正融資先、反社も視野
19日、江尻次郎元会長ら旧経営陣20人に約32億円の支払いを求めて提訴したいわき信用組合(本部・いわき市)は、不正融資先や資金提供を受けた反社会的勢力に対しても民事・刑事両面で法的措置を講じる方針を明らかにした。前代未聞の不祥事が起きた背景には何があったのか―。辞任以降、公の場での説明を避けてきた江尻氏は同日、福島民報社の取材に「裁判で話すことになるだろう」と語った。舞台を法廷に移し、一連の問題は全容解明に向け新たな局面を迎える。
代理人弁護士が地裁いわき支部に訴状を提出した後、いわき信組の金成茂理事長、森貞隆之常務はいわき市内で会見し、今後の法的措置の見通しを説明した。今回提訴した旧経営陣に対して追加の民事訴訟を検討している他、背任や私文書偽造などによる刑事告訴の準備を進めているとした。時期や人数については、捜査当局との兼ね合いなどを理由に明言を避けた。
不正融資先や反社に対する提訴、告訴の時期も「弁護士らと協議を進めている」と述べるにとどめた。
金成理事長は旧経営陣の責任を明確化することや反社との決別を改めて誓った上で、「民事・刑事を問わず、専門家との協議に基づいて責任追及を徹底して行う」と強調。旧経営陣に対して「法廷の場で真実をきっちりと語ってほしい」と求めた。
いわき信組を巡っては、金融庁も刑事告発する方向で調整している。金融庁と連携して検討を進めている財務省東北財務局は、検査に対して虚偽の報告・説明をしたなどとして、協同組合金融事業法違反があったとみている。■江尻元会長「裁判で話す」
江尻次郎元会長は福島民報社の取材に「今は何も話すことはないし、話せることもない。(今後については)裁判になるのだろうから、その場では話すことにはなるだろう」と自宅のインターホン越しに語った。
総代の60代男性経営者は旧経営陣の提訴について「一つの大きな動きではないか」と受け止めた。旧経営陣が公の場で説明してこなかったことに疑問を呈し、「信頼を取り戻すことはまだまだ容易ではないだろう」と指摘した。
いわき信組を約50年利用している、いわき市の80代女性は「最近も店舗に行ったが、順番待ちもなく利用客が少なかった。これからも存続できるだろうか」と不安げだった。■預金期末残高、大幅減
9月期までの仮決算発表
いわき信組は2025(令和7)年度9月期までの仮決算を発表した。預金期末残高は1518億2千万円(同年3月期比420億3100万円減)だった。不祥事公表を受け、5月中旬から6月中旬にかけて定期預金を中心に減少したため、大幅減となった。
自己資本比率は18・73%(同0・33ポイント増)、不良債権比率は12・16%(同0・33ポイント増)で、同信組は「健全性は保たれている」と説明した。コア業務純益は1億8千万円(同3億4600万円減)、当期純利益は2百万円(同5億1700万円減)となった。資金調達費用や不祥事の調査費などの経費が増えたため。
東日本大震災対応のため国から200億円の公的資金注入を受けた同信組は2026年度中に優先出資の一部を返済する方針を示した。公的資金が不正に使われた可能性が指摘されている。金成理事長は「外部への流出はないが、疑念を持たれている以上は返していくことにした」と説明した。■反社遮断に向け取り組み進捗公表
いわき信組は反社会的勢力との関係を絶つための取り組みの進捗[しんちょく]状況も公表した。弁護士と相談しながら反社関係者と思われる預金口座の解約手続きを実施している。反社に関連する融資について預金保険機構に対し、特定回収困難債権買取制度に基づく債権買取の仮申込を行ったという。
反社への法的対応のため信組との利害関係がない県外の法律事務所と契約した。