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福島県内の熊の出没・捕獲が最多となる中、多くのスキー場で20日、今冬の営業が始まった。各施設は県による警報期間の延長などを踏まえ、警戒を強めている。南会津町内4施設でつくる協議会は中学生など県外からの団体客に向け、熊への注意点を記したマニュアルを新たに作成。他の施設もコース整備時にサイレンを鳴らす、花火を定期的に上げるなどの対策を講じる。各施設によると、営業中のゲレンデに熊が出たことはないというが、関係者は「訪れる人に安心して楽しんでほしい」と最善を尽くす。
対策マニュアルを設けたのは会津高原たかつえ、会津高原だいくら、会津高原南郷、北日光・高畑の4スキー場でつくる会津高原スキー場協議会だ。生徒向けの主な呼びかけは【下記】の通り。滞在中の安全な振る舞いや持ち物の注意、熊に遭遇した際の対処法などをまとめた。
この冬は会津高原たかつえ、会津高原南郷に町の友好都市・さいたま市から約1万人、会津高原だいくらには千葉市から約3千人の中学生がスキー教室などで順次訪れる。南会津郡では12月に入り、熊の目撃はほぼなくなっているものの、事前学習に使い、不安なく活動してもらおうと用意した。各学校に送付して周知に協力を求める。
ゲレンデ周辺の定期巡回やごみの屋内保管、目撃情報の共有といった施設としての対策や緊急時の避難誘導、町、警察、猟友会など関係機関への連絡体制も示している。各施設のホームページなどに掲載し、一般客への周知を図る。
会津高原南郷はパトロール隊が毎日朝夕に一帯を巡り、熊など野生動物の痕跡を調べる。隊員10人のうち3人は狩猟免許を持ち、地元猟友会に所属しておりプロの目で異常を察知する。
喜多方市熱塩加納町の三ノ倉スキー場は県の警報延長や県外施設への熊出没などを受け、対策を整えて20日のオープンを迎えた。
開業前にパトロール隊がコース上で動物を追い払う花火を上げる。林間コースを中心に、営業中は約2時間おきにスノーモービルでサイレンを鳴らしながら巡回する。巡回の頻度は営業前後の1日2回だった例年から大幅に増やした。隊長の宇内長司さん(72)は「30年近く活動しているが、熊を想定した対策は初めて」と気を引き締め、足跡などの不審な痕跡がないかを確認している。残飯など誘引物の管理、目撃情報の発信なども強化した。
20日に営業を始めた猪苗代町の沼尻スキー場はゲレンデでBGMとして放送している音楽の音量を昨年より上げた。営業前後の圧雪作業中は圧雪車からサイレンを流すなど、熊を近づかせない工夫を講じている。
愛好者からは各施設の対応を支持する声が上がる。会津坂下町の自営業五ノ井智彦さん(55)は子どもたちにスキーを教えてきた。「子どもや孫と一緒に滑る際は万が一にも、という不安がある。スキー場に対策を心がけてもらうと安心して過ごせる」と語った。■会津高原スキー場協議会
熊対策マニュアル(一部を抜粋)▶基本的な注意事項
①むやみに林内・立ち入り禁止区域に入らない
②単独行動を避け、必ず複数人で行動する
③匂いの強い食品は持ち歩かない
④ごみは必ず指定場所に捨てる
⑤熊を見ても近づかず、写真撮影などをしない▶熊と遭遇した際の対応
・近づかず、走らず、落ち着いて後退する
・リフト係員や巡回スタッフに報告する
・騒がず冷静に行動する

