全国高校駅伝 福島県の学石、雨の都大路独走レース、狙い通り

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全国高校駅伝 福島県の学石、雨の都大路独走レース、狙い通り

福島のニュース

■全員ベストで悲願
Wエース、チームに勢い
京都市で21日に開かれた全国高校駅伝競走大会で、福島県の学法石川の男子は選手全員がベストを尽くし、悲願の初優勝をつかみ取った。3年生の増子陽太(18)=鏡石町出身=と栗村凌(18)=会津若松市出身=のダブルエースを中心に7人が会心の走りで、1区から首位を一度も譲ることなく大会新の2時間0分36秒のタイムでフィニッシュした。駅伝王国ふくしまの歴史に新たな一ページを刻んだメンバーは、優勝旗を手に頂点に立った歓喜に浸った。
フィニッシュとなるたけびしスタジアム京都に、漆黒のユニホームが先頭で現れると大きな歓声が湧き起こった。雨が降る中、1年生のアンカー美沢央佑[みさわおうすけ](15)が右手を突き上げフィニッシュテープを切ると、出迎えた増子と2区の若田大尚[ひろたか](16)と3人で抱き合った。目標に掲げてきた「都大路での優勝」という最高の瞬間をともに味わった。
強い雨に15度前後の高い気温と難しいコンディションの中、1区からつかんだ流れを渡さなかった。「エースとしてチームを勝たせる」。5000メートル高校歴代3位の記録を持つ増子が日本選手最高記録を更新する28分20秒の圧巻の走りを見せた。3区栗村も「増子の記録は聞いていた。負けられない」と後続を突き放して区間賞を取るなど躍動。2人のエースが頂点を目指すチームをけん引した。
さらに、強力な留学生がひしめく2区を任されたルーキー若田が区間12位、同じくアンカー美沢が区間11位と1年生コンビも力を発揮した。最上級生も活躍に応えるように6区保芦摩比呂[ほあしまひろ](18)が区間2位、初出場の4区佐藤柊斗[しゅうと](17)=伊達市出身=と5区末田[すえだ]唯久海[いくみ](17)も区間3位でまとめるなど全員が力を最大限に発揮した。
都道府県大会で全国トップタイムを出し、厚い選手層を誇る仙台育英(宮城)が優勝候補の筆頭とされていた。下馬評を覆した原動力はダブルエースの存在と、2人の背中を追う他の選手が生み出した成長の好循環だ。
若田が「先輩たちが速くてそれに追い付きたかった」と話せば、増子も「後輩は練習でも僕らを抜かそうとしてくる。怖いもの知らず」と意識し合うなど、切磋琢磨[せっさたくま]できる環境が全国の大舞台に向けてチームの調子を上向かせていった。栗村は「高校3年間で、全員がベストコンディションで臨めるレースはなかった。それがこの大会に向けて調子が合ってきて、すごく良い仕上がりになった」と充実した表情だった。
優勝を果たして次は追われる立場になる。「自分たちがチームを引っ張って、来年も再来年も優勝したい」と美沢。連覇という目標を掲げ、飽くなき向上心を見せた。■松田監督「想定以上」
就任17年目、高い壁破る
都大路初優勝を果たした福島県の学法石川高陸上競技部の松田和宏監督(51)は「こちらが想定した以上に選手がやり切ってくれた。本当にうれしい」とチーム、そして自身にとっても悲願の目標を達成し、感極まった様子だった。
今年は5000メートル13分台の増子陽太(3年)と栗村凌(同)、保芦摩比呂(同)をはじめ、1年生にも美沢央佑や若田大尚ら勢いのあるメンバーがそろった。選手が気負い過ぎないよう、監督としては「優勝が目標」とは言葉にせず、「過去最高順位(3位)の更新」とだけ伝えていた。レース後には、「優勝するならこの代だと思っていた」と胸の内にあった期待を最大限の賛辞で表した。
1区増子で流れをつかみ、3区栗村で突き放す。4区、5区で粘り、6区保芦で再び勝負。そして7区でアンカー美沢が逃げ切る。事前に練り上げたレースプランを見事に実践した。大会新での栄冠を勝ち取った教え子たちの成長に喜びもひとしおだった。
2009(平成21)年から監督を務める。就任時から目指したのが「都大路での優勝」と「五輪選手の輩出」だった。後者は、教え子の相沢晃(旭化成)が東京五輪で成し遂げた。ただ、都大路は全国の高い壁に阻まれてきた。駅伝の強豪校が持久力を付けるために距離重視の練習をこなす中、現役時代の経験を教訓にした指導を心がけた。「スピード重視」「けが防止」「自主性の尊重」との独自の太い軸はぶらさなかった結果が全国常連の強豪チームづくりにつながった。
就任17年目で追い続けたもう一つの夢に届いた指導者の瞳には、きらりと光るものがあった。■学石女子も健闘
5年ぶりの入賞は届かず
13年連続13度目の出場となった学法石川女子は2020(令和2)年以来、5年ぶりの入賞を狙ったが、届かなかった。雨が降りしきる厳しい状況でも13位と健闘。「京の都で花咲かそう」のスローガンの下、18人全員が気持ちを一つにし、冬の都大路のレースに臨んだ。
選手たちは高校生活の全てを都大路のために懸け、厳しい練習も乗り越えてきた。本番に挑むのは5人だが、連帯を強くするため、ミーティングを月2回行い、「学校最高順位で入賞」の目標を明確にした。スローガンを全員で口にして常に全国を念頭に置いて鍛錬を重ねてきた。「全員でやるよ」。主将の湯田和未(3年)は練習中誰一人欠けないよう鼓舞し続けた。
大会前日にもミーティングを行い、思いを語り合った。「走る人は走れない人の分まで」「走れない人は自分が走る気持ちで」と全員で同じ方向を向き、それぞれが全力を尽くした。
来年こそ悲願の入賞を果たすため戦力の底上げが課題だ。全国で勝ち切るために、今大会を経験した2年生を中心に個々のレベルアップを図り、全国屈指の選手層を目指す。アンカーを務めた岩橋菜乃(2年)は「来年は入賞して笑顔で終わりたい」と誓った。■選手に感謝
学石高の森校長
毎年現地で中継所を回るという学法石川高の森涼校長(62)は「今年はペースが速過ぎて追い付けなかった。まさに偉業を成し遂げてくれた。期待がかかる中で結果を出すことは簡単ではない。選手たちに感謝したい」とたたえた。■民報社、号外を配布
福島民報社は21日、全国高校駅伝競走大会で学法石川高の男子初優勝、女子13位を伝える号外を石川町のヨークベニマルメガステージ石川店などで配った。■ふくしま駅伝に出場
県内出身選手
県内出身の増子陽太、栗村凌らは中学時代から毎年11月に開催される市町村対抗県縦断駅伝競走大会(ふくしま駅伝)に出場し、スピードを磨いてきた。