学石男子高校駅伝 初Vの軌跡(上) 「故障させない」徹底 疲労も残さず実力発揮

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学石男子高校駅伝 初Vの軌跡(上) 「故障させない」徹底 疲労も残さず実力発揮

福島のニュース


全国高校駅伝競走大会で悲願の初優勝を果たした学法石川では、松田和宏監督がトラック中心の「スピード強化」に軸足を置いた練習、けがを防ぐ指導方針を長年かけて浸透させた。市町村対抗県縦断駅伝競走大会(ふくしま駅伝)などで素質を示した福島県内の有望選手が集い、外国人留学生に頼らずに強豪と戦える土台を築いてきた。県勢初の頂点にたどり着いた強さの裏側を探る。
大会新記録での戴冠から一夜明けた22日、学法石川の選手は京都から車で地元に帰還した。学校によると、疲労を考慮して派手な「凱[がい]旋[せん]式」は行わず、石川町の寮や自宅へ直接戻った。23日には校内で報告会に臨む。
都大路ではフルマラソンと同じ42・195キロを7人でつなぐ。今大会の各選手は1区増子陽太(3年)と3区栗村凌(同)が区間賞、6区保芦摩比呂[ほあしまひろ](同)が区間2位、4区佐藤柊斗[しゅうと](同)と5区末田唯久海[すえだいくみ](同)が区間3位。7区間のうち、5区間で区間3位以内の好順位で走った。1年生コンビの2区若田大尚[ひろたか]は区間12位、7区美沢央佑[みさわおうすけ]は区間11位で踏ん張り、総合力の高さを見せつけた。
強さの源泉にはいくつかの要素がある。一つは2009(平成21)年から率いる松田監督の方針だ。現役時代の自身の経験やスポーツ科学の観点から、年齢を重ねた後も伸ばしやすい持久力ではなく、若い高校時代にはスピードを重視するトレーニングで速さを体得させてきた。
けがの防止にも意識を割き、普段の練習場所はトラックや町内のクロスカントリーコースを主とし、故障リスクが増す硬い路面を長く走る機会を限定。放課後の練習も90分程度にとどめている。松田監督は「なるべく、疲労を抜いた状態で選手が練習できるようにしている」と狙いを明かす。
実力者ぞろいの集団では競争心から練習から「オーバーペース」を誘発しかねない。大会約2週間前に報道陣に公開した高強度のポイント練習でもペースが設定タイムを超えた際は松田監督が「抑えろ」と声をかけた。強度を上げ過ぎると疲労がたまり、本番で力を出し切れなくなるためだ。
一方、毎夏の合宿では桧原湖(北塩原村)を1周するなど相当の距離を走り込む。「トラックは強いがロードは弱い」とやゆされる中、スピード練習と持久力を養う練習を組み合わせて駅伝への対応力も磨いた。
飛躍のもう一つの要因はこうした一貫した指導方針で力を付けた選手が毎年の都大路で入賞などの実績を重ねた結果、力のある中学生に「選ばれる学校」になったことにある。東京五輪1万メートル代表の相沢晃(旭化成、須賀川市出身)、5000メートルで世界選手権に出場した遠藤日向(住友電工、郡山市出身)ら母校を巣立った歴代OBの奮闘も高校陸上界での評価を押し上げた。ふくしま駅伝で潜在能力を発揮してきた増子や栗村、佐藤ら県内出身の次世代が郷土の先輩に続き、次々と門をたたく好循環が生まれた。
現メンバーでいえば、共に世代屈指の走力を持ちロードが得意の増子、栗村の加入は大きく、1年生の頃から「都大路での優勝」を目標に切磋琢磨[せっさたくま]してきた。こうした蓄積による「総合力」が大会新での初優勝に結実した。
今年9月には遠藤日向がペースメーカーを務めた大会で増子と栗村が2000メートルの日本高校記録を更新した。増子は常々、先輩の支援に感謝を口にしてきた。大仕事を終えた後も「僕らだけじゃなく、これまで支えてくれた全ての人たちでつかんだ優勝だと思う」と話した。