朝市必ず復活させる 石川県輪島市の観光名所出張し活気 伝統堅守へ商人奔走 本紙記者ルポ

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朝市必ず復活させる 石川県輪島市の観光名所出張し活気 伝統堅守へ商人奔走 本紙記者ルポ

福島のニュース


能登半島北部、石川県輪島市の名所「朝市通り」は能登半島地震に伴う大規模火災で、約4万9千平方メートルが焼失した。出店者による組合は復活に向けて昨年7月、焼け跡から南に1キロほど離れた市中心部の商業施設で「出張輪島朝市」を始めた。発災1カ月後の取材から約2年ぶりに現地を訪ね、千年以上に及ぶ伝統を守ろうと奮闘する商人たちの姿に触れた。(本社社会部・水口薫)
穏やかな冬晴れが広がった12月19日。日本海を時折眺めつつ、半島に通じる高速道路「のと里山海道」を北上して輪島市に入った。一部区間は片側交互通行のまま。崩れた山肌の痕跡が生々しく残り、道路をはがしたアスファルト片がそばに積み上げられていた。
のと里山海道を降り、市街地に入る。朝市のあった一角は目と鼻の先に日本海を望む。前回の訪問時は燃え残った建材や瓦などのがれきの山だった。一帯は更地となり、背丈ほどに茂った雑草が海風に揺れていた。
市によると、249棟の被災建物は今年4月までに公費解体を終えた。市は土地区画整理事業に着手しており、早ければ来春ごろに着工、2030(令和12)年度完了を目指す。多目的広場などを設け、将来はイベントなどを通じてにぎわい再生につなげる。発災前の年間80万人を上回る100万人を呼び込む構想だ。
2年前にはなかった復興の芽吹きも生まれていた。出張輪島朝市の会場「ワイプラザ輪島」。年末年始を控え、大勢の買い物客が品定めしていた。週6日、朝から昼まで店が並ぶ。この日は干物や野菜、民芸品などを扱う38店が出ていた。出店数は地震前の4割にとどまる。それでも、売り手の女性の「買[こ]うてくだぁー」という声が飛び交う館内は活気に満ちていた。
「元気でやっとる?」。地元の人がひいきの店を訪ね、店主らと会話を弾ませる。輪島市朝市組合長の冨水長毅さん(57)も祖母の代から40年以上続く海産加工物の「冨水商店」を火災で失った。それでも「テント一枚あれば、どこでも商売はできるよね」と仲間の顔を見渡し、ほほ笑んだ。
日本三大朝市に数えられる朝市の復興は動き始めたばかりだ。冨水さんらは本来の朝市の姿、古里の誇りを取り戻すため奔走する。「必ず復活させるから」。力強い口調から確かな可能性を感じた。