【師走ひと模様】指先と心に彩りを 福祉ネイル養成校開校へ 郡山の猪狩梓さん

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【師走ひと模様】指先と心に彩りを 福祉ネイル養成校開校へ 郡山の猪狩梓さん

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肌を通して、ぬくもりが伝わる。まなざしは真っすぐに瞳を捉える。「年末の大掃除はしましたか」。郡山市の福祉ネイリスト猪狩梓さん(35)=Haberu代表=が介護施設で利用者に優しくほほ笑みかけた。心を癒やし、認知症や加齢で心身が衰える「フレイル(虚弱)」の予防にも有効とされる福祉ネイル。県内初の養成校を1月下旬、郡山市内に開校する。「多くの人に指先から感動を届けたい」と誓う。








鏡石町出身。20代で2男3女を出産した。24歳から32歳にかけてネイリスト技能検定1級やジェルネイル技能検定上級など九つの資格を取得した。福祉ネイルとの出合いは2022(令和4)年12月。建築業に従事する夫が仕事中に右足のアキレス腱[けん]を断裂し、車椅子生活を余儀なくされた。明るく周囲を引っ張る一家の大黒柱が「迷惑かけてごめん」とふさぎ込んだ。
立ち直ってほしいと、すがる思いで「介護
気分転換」と検索。福祉ネイルに心を救われたという体験談を読み、感動で涙があふれた。夫を相手に実践したところ、笑う回数が増えるなど効果を実感した。「生涯の仕事にしよう」と決めた。仕事や子育ての合間を縫って埼玉県の養成校に通学。高齢者の肌の扱い方や丁寧な施術の説明など「福祉」の心得を学んだ。3カ月かけ2023年9月に資格を取得した。








市内の自宅サロンを拠点に同業者らと介護・障害者施設、病院、市営団地を訪れ、ネイルやハンドトリートメントを提供している。「ありがとう」の言葉や会うたび明るくなる表情に喜びを感じる。昨年夏、認知症が進む女性に介護施設でネイルを施した。家族から「昔の母を思い出した」と施設にお礼の電話が届いた。「猪狩さんのお仕事って本人だけじゃなく周りも幸せにするんですね」。職員の言葉に仲間を増やしたい気持ちが強くなった。
県内で活動する同業者は把握する限りで10人に満たない。資格を持ちながらも活動の仕方が分からず、辞めてしまった人も。こうした現状から、東北地方で4校しかない養成校の開校を目指した。施設の定期訪問3件以上やカルテ200人分など、日本保健福祉ネイリスト協会が課す要件を2年かけて達成した。はがきや電話で訪問先を探すなど営業の講座も受け、今年10月に開校が認められた。
高齢者の病気に関する知識やコミュニケーションの取り方などを実践的に教える。資格取得後も活動を支え合えるよう勉強会を開き、LINE(ライン)グループ内で相談に応じるつもりだ。イベントのワークショップでこの仕事の意義や魅力を伝えてきた。資格は高校生から取得可能。「自分の世界観を出せて人の役に立てる仕事があると知ってほしい」。異世代が心を通わせる光景を思い描く。
受講料は、1回3時間の講習を7回で8万8千円(税込み)、ネイリスト技能検定2級以上を持つ人は1回5時間の講習を2回で4万4千円(同)。他に教材費、保険代、初年登録料などが必要。座学と実技があり、「Haberu」では座学のみオンラインでも受講できる。卒業試験と実地研修を経て卒業証明書が得られる。1月中旬から説明会を開く。サロンを併設する。住所は郡山市谷地本町29。