福島県内59市町村長調査 中選挙区制半数が賛成 衆院 地方の声反映理由に

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自民党と日本維新の会が目指す衆院議員定数の削減や選挙制度の在り方について、福島民報社は福島県内59市町村長にアンケートを実施した。一つの選挙区から複数の当選者が出る「中選挙区制」の導入には、完全回答した56市町村長のうち半数近くに当たる26人が賛成した。単純に人口だけで定数を配分せず、多様な意見が反映する選挙制度の導入を求めた。定数削減に関しては約7割の40人が「どちらとも言えない」と判断を避けたが、多くが自由記述で「削減によって人口の少ない地方の声が届きにくくなる」との懸念を示した。
一つの選挙区から3~5人程度が当選する中選挙区制は中小政党も議席を獲得しやすく、多様な民意を反映しやすい半面、政党内での候補者競争が激しく、派閥争いや金権政治の温床になりやすいとされる。
中選挙区制の導入に関する市町村長の賛否は【表(1)】の通り。白河市の鈴木和夫市長は「複数の人材を長期的に育てる中選挙区制の復活など、地方の意見をしっかり国政に反映できる選挙制度の抜本的な改革が必要だ」と訴えた。
中選挙区制度の導入により、現在の選挙制度(小選挙区比例代表並立制)の課題解決につながるとの意見もあった。田村市の白石高司市長は小選挙区で落選した候補者が比例代表で当選する「比例復活」は選挙区の民意に反しているとし「こうした問題に対して中選挙区制の導入を行っても良いのではないか」と求めた。
玉川村の須釜泰一村長は落選候補に投じられた「死に票」の発生といった現在の選挙制度の課題を指摘し、「中選挙区制の再検討も含めた抜本的な議論が必要」と述べた。■定数削減
「どちらとも言えない」最多
衆院議員定数削減に対する市町村長の賛否は【表(2)】の通り。「どちらとも言えない」が最多で40市町村長だった。会津若松市の室井照平市長は定数削減に一定の理解を示した上で「地方選出議員の定数削減には強く反対する」とした。南会津町の渡部正義町長は農山漁村の振興を国政で論じるためには国会議員の数を減らしてはいけないと指摘。「仮に削減に踏み込むのであれば比例代表の定数削減で調整すべきだ」と提案した。
反対は8市町村長。会津美里町の杉山純一町長は、人口が基準のため都市部の議員が多くなる現行の選挙制度に触れ「地方の声が届きにくくなる」と批判。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興途上にある大熊町の吉田淳町長は「都市部への一極集中が加速する」と危惧した。
賛成は中通りや会津地方を中心とした9市町村長。湯川村の佐野盛至村長は「人口減少社会に見合った国会構成が必要で、経費の削減も図られる」とした。広野町の小松和真町長は「定数削減は従前より掲げられている政治改革のスローガンだ」と強調した。
福島民報社と福島テレビが共同で12月に実施した県民世論調査では56・8%が定数削減に賛成した。今回のアンケートで賛成した9市町村長は全体の15・8%で、県民よりも慎重な姿勢が垣間見えた。■福島県関係の国会議員9人
定数削減
森氏のみ賛成
福島県関係国会議員9人にも聞いた。
森雅子参院議員(自民、福島県選挙区)は「財政負担、国民負担を考えると数を削減せざるを得ない」とし唯一、定数削減に賛成した。星北斗参院議員(自民、福島県選挙区)と岩渕友参院議員(共産、比例代表、福島市在住)は反対とした。
金子恵美(立憲民主、福島県1区)と小熊慎司(立憲民主、福島県3区)の両衆院議員は「どちらとも言えない」、坂本竜太郎衆院議員(自民、福島県4区)は無回答だった。
中選挙区制の導入の賛否については、坂本氏は反対と回答。金子、小熊、森、星、岩渕の5氏は「どちらとも言えない」と明言を避けた。根本拓衆院議員(自民、比例東北)は議員定数削減と中選挙区制導入の是非について無回答だった。
玄葉光一郎衆院議員(立憲民主、福島県2区)は衆院副議長として選挙制度改革の議論を取りまとめる立場にあるため回答を控えるとした。
斎藤裕喜衆院議員(立憲民主、比例東北)は期限までに回答がなかった。【表(1)】衆院選で一つの選挙区から複数の当選者が出る「中選挙区制」導入の是非について◆賛成(26市町村)白河、二本松、田村、鏡石、天栄、下郷、檜枝岐、南会津、北塩原、猪苗代、会津坂下、三島、金山、会津美里、泉崎、矢吹、矢祭、鮫川、石川、玉川、平田、小野、広野、双葉、浪江、葛尾◆反対(1市)いわき◆どちらとも言えない(28市町村)福島、会津若松、郡山、須賀川、喜多方、南相馬、伊達、本宮、桑折、国見、川俣、大玉、只見、西会津、湯川、柳津、昭和、西郷、中島、棚倉、浅川、古殿、三春、楢葉、富岡、川内、新地、飯舘◆分からない(1町)大熊◆無回答(3市町)相馬、磐梯、塙【表(2)】衆院議員定数削減に対する賛否について◆賛成(9市町村)本宮、下郷、猪苗代、湯川、三島、金山、泉崎、広野、楢葉◆反対(8市町村)白河、喜多方、国見、天栄、会津美里、矢祭、大熊、浪江◆どちらとも言えない(40市町村)福島、会津若松、郡山、いわき、須賀川、二本松、田村、南相馬、伊達、桑折、川俣、大玉、鏡石、檜枝岐、只見、南会津、北塩原、西会津、会津坂下、柳津、昭和、西郷、中島、矢吹、棚倉、塙、鮫川、石川、玉川、平田、浅川、古殿、三春、小野、富岡、川内、双葉、葛尾、新地、飯舘◆無回答(2市町)相馬、磐梯