福島のニュース
神楽、田植踊、獅子舞…。福島県内に息づく民俗芸能の減少が加速している。昨年度の県の調査に答えた民俗芸能団体のうち、活動休止か直近5年間で廃絶となったのは計23・6%に上り、2019年度の同様の調査の16・6%を7・0ポイント上回った。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響、担い手不足に苦しみながら、伝統をつなぐ団体に新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけたとみられる。専門家は地域固有の文化の衰退と住民同士の関係の希薄化を懸念する。
調査は5年に1度程度実施しており、前回に廃絶となった団体を除くなど対象を精査し、約500団体に調査を依頼した。今回はコロナ禍後初めての実態調査となった。活動状況は【表】の通り。昨年度の県の調査に応じた民俗芸能団体263のうち、昨年9月1日現在で46団体が活動休止に追い込まれ、16団体が廃絶を余儀なくされていたことが判明した。方部別では「休止」と「廃絶」を合わせた割合は会津は81団体中22団体の27・2%で前回調査を13・4ポイント、中通りは108団体中20団体の18・5%で4・9ポイントそれぞれ上回る。
浜通りは27・0%で前回より6・6ポイント上回った。一方で帰還困難区域を中心とした原発事故の避難指示解除が進む中、「一時休止したが再興した」が3方部中で最も割合が高い21・6%となった。浪江町の南津島郷土芸術保存会など若手の力で存続する例も出ている。
活動を休んでいる理由は、継承者の不足が23・3%で最多を占めた。会員の高齢化19・4%、少子高齢化17・1%が続き、コロナ禍の影響が16・3%となった。
これまでは活動人員の減少や、震災による道具類の損失や避難などが理由の多くを占めた。県や関係団体は今回はコロナ禍で披露の場が途切れ、世代交代の機会が失われた団体は少なくないと推測。終息後も今まで通りの質や意欲が保てなくなった住民も多いとみている。
西郷村の県指定重要無形民俗文化財・上羽太天道念仏踊[かみはぶとてんとうねんぶつおどり]は休止を経て、今春に保存会の活動を取りやめた。住民が集まれない状況が続いたコロナ禍が明け、関係者にアンケートを取った結果、継続は難しいという結論に至ったという。江戸時代に白河領の風俗を記した「奥州白川風俗問状答」に登場する伝統的な行事で、長年にわたり、地域住民が守ってきた。現在は地元・羽太小の児童が踊りを受け継ぎ、根絶を防いでいる他、村が保存に向けて動いている。保存のための活動をしている伝承者の一人である鈴木喜代次さん(77)は「コロナがなければ地域としての活動も続いていたかもしれないな」と残念そうにつぶやいた。■民間団体に限界
行政の支援強化が必要
特定NPO法人民俗芸能を継承するふくしまの会の懸田弘訓理事長(88)は「民間の団体だけでは限界が来ている」との考えを示し、地域を挙げて工夫を凝らし、存続を目指す必要性を訴える。
民俗芸能が持つ意義を「地域のまとまりにつながり、ふるさとを形成する役割を担っている」と強調する。休止や廃絶となった団体だけが問題ではなく、「活動している中にも、風前のともしびと言わざるを得ない団体は多い」と現状の厳しさを指摘。「県など行政がさらに支援を強化する必要がある」とした。

