福島県内の除染土 花博で活用検討 2027年政府 安全性、理解醸成へ

  • [エリア]

福島のニュース


政府が東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で出た土壌のうち、放射性物質濃度が比較的低く、公共工事などに利用可能な土壌の一部を、横浜市で開かれる国際園芸博覧会(花博)に活用することを検討していることが分かった。花博は2027(令和9)年3月から半年間開催され、国内外から1千万人以上の来場を見込む。国際イベントを契機に安全性への理解醸成を図り、県外最終処分の実現につなげる狙いがあるとみられる。
除染土壌の再生利用は最終処分が必要な土の量を減らすのが目的。2045年3月までの県外最終処分を果たす上で重要な意味を持つ一方、推進には国民の理解が課題となっている。政府は首相官邸や中央省庁の花壇などへの再生利用を実施。9月には除染土壌のうち、放射性物質濃度が比較的低く、公共工事などに使える土の呼称を新たに「復興再生土」と定めるなど、理解醸成に向けた取り組みを強めている。
花博は2027年3月19日から9月26日まで、2015(平成27)年に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設の約100ヘクタールで催される。博覧会の種別で最上位「A1クラス」に当たり、国内での開催は1990年の「大阪花博」以来、37年ぶり。会場建設費は320億円、運営費は360億円を計画している。
花博を再生利用の安全性の発信や理解醸成に生かすべきだとの声は国会の議論で上がっている。11月の衆議院国土交通委員会では草間剛衆院議員(自民、神奈川19区)が県外最終処分に向けた政府のロードマップ(工程表)に言及し、花博での除染土壌の利活用を政府に質問。環境省幹部が大阪・関西万博で除染土壌を使った鉢植えを展示し、多くの来場者に再生利用の必要性や安全性の理解が進んだ点に触れた上で、「万博での実績を踏まえ、関係省庁と相談し検討を進めていきたい」と答弁した。
同省の担当者は福島民報社の取材に対し、「現時点で国会での答弁以上のことは何もない」としている。
大阪花博は鶴見緑地(大阪市鶴見区、大阪府守口市)を舞台に83カ国と55の国際機関、212の企業や団体が参加。目標の2千万人を上回る2312万人が訪れた。国土交通省や農林水産省などによると、閉幕後はガーデニングブームが起き、花壇苗の需要が急増。12年間で生産量は16倍に達した。ガーデニングが趣味として定着するなどの影響をもたらした。