【震災・原発事故15年】避難12市町村 再生への道着実に

  • [エリア] 川俣町 田村市 相馬市 南相馬市 広野町 楢葉町 富岡町 川内村 大熊町 双葉町 浪江町 葛尾村 飯舘村

福島のニュース


東京電力福島第1原発事故で避難指示などが出された12市町村。避難指示が解除された時期などによって復興・再生の進み具合が異なる。2026(令和8)年の主な動きや課題を市町村ごとに紹介する。■双葉町
JR双葉駅東口の町立体育館跡地に整備が進む商業施設が、今春にもオープンする見通し。飲食店3店舗が入居し、生活環境の改善、にぎわい創出が期待される。約1370平方メートルの敷地に鉄骨平屋の3店舗が連なる。敷地内に二つの広場を置き、来店者や住民らが交流できるようにする。
中野地区復興産業拠点には、大和ハウスのグループ会社「大和ライフネクスト」が大型ホテルを建設し、6月1日にオープンする。5階建てで客室数は98室。ホープツーリズムや国際会議での活用を見込み、約300人収容の会議室を備え、双葉郡で最大級の規模を誇る。今夏の開業を目指している。■大熊町
町が町内原地区に整備している商業施設に入るスーパーマーケット「マルト大熊店」が10月2日にもオープン予定。原発事故発生後、町内に立地する初のスーパーとなる。課題となっている買い物環境の向上が期待される。生鮮食品や総菜、日用品などを扱う。「くすりのマルト」を店内に併設し、医薬品もそろえる。開業時期は当初、2027(令和9)年度中としていたが、町民の要望を踏まえ、1年ほど前倒しした。
JR大野駅西側では町が新設する社会教育複合施設の整備が本格化する。公民館や図書館、博物館館などの機能を設け、2028年度の開館を目指している。■浪江町
町内棚塩地区に整備される大規模畜産施設「復興牧場」(仮称)は、2026(令和8)年度早期の供用開始を目指し、建設工事が進む。町が県酪農業協同組合、全国酪農業協同組合連合会と協定を結び、酪農畜産業の再生拠点とする。約25ヘクタールの敷地に牛舎や研究施設などを新設。乳牛など約2千頭を飼育し、年間の生乳生産量は約1万3千トンを見込む。
町内小野田の高瀬川沿いでは、サケふ化施設の整備が佳境。今年度中の供用開始を目指す。最大約450万匹を育てられる飼育池、採卵室、機械室などを設ける。■葛尾村
村が村観光推進協議会を発足させ、1月にも初会合を開く。観光客の増加に向け、体制づくりを強化し、交流人口拡大、知名度アップにつなげる。村民や村内の事業者らが会員として協議会に参画し、観光戦略プランに基づいた観光施策や誘客事業などを提案する。
県道浪江三春線小出谷工区(延長5.5キロ)の工事が本格化している。復興の加速につながる一大事業で、工事完了後は交通環境が改善し、アクセス向上が期待される。■広野町
町内の広野火力発電所1~4号機の廃止を受け、運営会社JERA(ジェラ)と跡地利用や新たなエネルギー拠点構想の確立などについて協議している。ジェラ側は2026年度末までに跡地利用の方向性を示すとしている。
今夏には震災と原発事故発生後初の人工透析施設「ふたば腎・泌尿器科クリニック」が町内に開院し、診療を開始する見通し。人工透析内科、内科、泌尿器科を設けて健康診断も行う予定。人工透析のベッドを約30床設ける計画。■楢葉町
波倉地区で国内最大級の蓄電池設備を中心とした「新産業団地・再エネパーク」の計画が進む。蓄電所は最大出力15万キロワットで東京電力、東北電力の送電網につなぎ、2027(令和9)年度末にも稼働開始を見込む。町が約16ヘクタールの用地取得を終え、2026年度中に敷地を整備する。
新産業団地に近い楢葉北産業団地内の空き工場には、住宅用太陽光パネルで国内トップシェアの長州産業(山口県)が生産拠点となる工場を構え、今秋にも稼働開始予定。企業の進出、再開の動きが進んでいる。■富岡町
帰還困難区域の避難指示解除に向け、小良ケ浜、深谷両地区の特定帰還居住区域約220ヘクタールで除染を進めている。昨年実施した第2回帰還意向調査で新たに13世帯が帰還意向を示した。町は帰還希望者の宅地など約55ヘクタールを同区域に追加する。1月末までに復興再生計画の変更案を国に提出し、認定を受ける見通し。これにより深谷地区は全域が特定帰還居住区域となる。
町が町内新夜ノ森に整備する第2産業団地は2028(令和10)年度の供用開始を目指し、2026年度から整備工事に着手する予定。リフレ富岡跡地に整備する物販・温浴施設は2026年度の設計、着工を目指す。富岡駅前のにぎわいづくりに向けた拠点整備の設計も2026度に実施予定。■川内村
2026(令和8)年度から第3期復興・創生期間に入るのを踏まえ、復興事業の検証に取り組んでいる。国の補助金を活用し、計約530億円を充てた延べ約1500事業を46項目に区分けして継続の必要性や事業の優先度などを判断する。村の課長職らで構成する検証委員会が結果を集約し、3月末までに公表する方針。今後の事業展開の裏付けとする他、国への予算要望にも活用する。■南相馬市
市内の帰還困難区域に帰還を希望する1世帯の宅地など約3.7ヘクタールが特定帰還居住区域に設定されている。除染作業の準備を進めている。原発事故による避難指示が2016(平成28)年7月に解除された小高区には、小高復興産業団地(フロンティアパーク)が2026(令和8)年度以降に供用を開始する予定。産業再生の加速化が期待される。■飯舘村
特定復興再生拠点区域(復興拠点)と拠点外の「長泥曲田公園」の避難指示が2023(令和5)年に解除された長泥地区では、地域コミュニティー再生に向け「長泥友の会」が設立された。避難している地区住民が健康づくりのサロンや環境美化活動などに取り組んでいる。会員同士の交流をさらに進めていく。■川俣町
山木屋地区の12月1日現在の居住者は315人で、65歳以上は216人と68.6%を占める。町は復興拠点商業施設「とんやの郷」の隣接地に「山木屋地区防災まちづくり拠点施設(仮称)」を整備しており、春の運用開始を目指している。災害時の防災力強化だけでなく、新たな移住者を呼び込むなど活性化に貢献する施設にする狙いがある。■田村市都路町
2014(平成26)年4月1日に避難指示が解除され、今年で12年となる。住民の帰還率は9割を超えるが、人口減少が加速している。一方で震災後、町内に立地した企業や工場があり、昨年末には複合商業施設「コ・ラッシェ都路」が完成し、交流人口の増加が期待される。