福大、産総研、スペイン、ドイツの大学・研究機関 福島県、欧州新エネ連携

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福大、産総研、スペイン、ドイツの大学・研究機関 福島県、欧州新エネ連携

福島のニュース

【スペイン・バスク州で本社報道部・小山大介】福島大など福島県内の3大学・研究機関は、スペインとドイツの3州の研究施設などと新たに水素など新エネルギー分野での学術連携・交流事業に乗り出す。新エネ普及が進む欧州の最新の知見を取り入れながら、共同の研究や技術開発、人材の相互派遣などの実現を目指す。県と各州が支援し、これまで企業間での連携が中心だった枠組みを産学官に広げることで、普及、実用化に向けた取り組みの加速が期待される。■産学官に枠組み拡大へ
普及、実用化の推進期待
スペインを訪問中の内堀雅雄知事が12日午前(日本時間同日午後)、連携先の一つであるバスク州の州首相府公邸でイマノル・プラダレス・ヒル首相と大学・研究機関などの連携を新たに盛り込んだ覚書を更新した。14、15の両日はドイツのハンブルク、ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)の2州と同様の手続きを行う。
連携する関係機関は【図】の通り。福島県からはバイオマス由来の水素製造などに取り組む福島大水素エネルギー総合研究所、再生可能エネルギー・水素研究に特化した国立研究機関の産総研福島再生可能エネルギー研究所、再エネ関連も含めた新技術の試験研究を進める県ハイテクプラザが参加する。
欧州側は産学連携の要として多くの企業プロジェクトを請け負うスペイン・バスク州の民間研究機関「テクナリア」や、気候変動の観点から再エネが与える影響を分析しているドイツ・ハンブルク州の「ハンブルク大」、日本の企業などとも連携するNRW州の「エッセンガス熱研究所」、先端の水素貯蔵システムの実証などに取り組むホルシュタイン州の「ヘルムホルツ
ヘレオン研究所」などが参画する。
福島県、スペイン、ドイツの学術・研究機関がそれぞれが強みとする研究の知見を共有し、実用化につなげる。具体的には、水素エネルギーで世界的な課題となっている運搬や貯蔵にかかるコスト削減に向けた技術革新、アンモニアなど新たなエネルギーの普及に向けた課題解決などを見込んでいる。県と各州は、各大学・研究機関の個別の会合の設定やセミナーの開催、中長期的な共同研究の創出を後押しし、専門性のある研究テーマに沿ったグループづくりなどができるよう支援する。学生や研究者の相互派遣を活性化させ、国際的に活躍できる人材の育成につなげる。
欧州の再エネ普及率は高く、発電量全体に占める割合は2024(令和6)年にスペインが56%、ドイツが54%に達している。県はこれまで、3州と再エネ、水素分野に関する覚書を結んでいたが、企業間の取り組みが主だった。大学や研究機関が加わることで欧州との新エネ分野での産学官連携の枠組みが実現する。産総研福島再生可能エネルギー研究所の古谷博秀所長は「今回の連携は新技術が生まれる先駆けの地となるきっかけになる。県や州政府が学術機関の連携をサポートする枠組みを生かす」と意義を強調した。
プラダレス首相と覚書を結んだ内堀知事は「今回の更新で研究機関、研究者同士の連携も強化する」と述べた。プラダレス首相は「福島との連携を機に、両国のエネルギーの生産性向上に生かしていきたい」と期待した。