震災・原発事故の体験を手話で伝える ろう者の武田宏美さん(福島県郡山市) 避難の課題と実情訴える

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震災・原発事故の体験を手話で伝える ろう者の武田宏美さん(福島県郡山市) 避難の課題と実情訴える

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東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を福島県双葉郡で経験した、ろう者の武田宏美さん(48)は17日、富岡町のとみおかアーカイブ・ミュージアムで震災体験を伝えた。「何が起きたか分からず不安だった。障害を持つ人が安全に避難できるよう、工夫や訓練が必要だ」と手話で訴えた。
武田さんは富岡町に住み、浪江町で仕事中に被災した。携帯電話の地震速報のアラームに気づかず、職員から避難を呼び掛けられて外に出ると強烈な揺れに襲われた。非常事態に職員も散り散りになった。浪江町の土地勘がなく、パニックになりながら富岡町の自宅に車で向かった。内陸側を通行中、道が崩れていたため海側に向かった。津波が押し寄せている状況を知らなかったからだ。避難中の男性に止められて引き返すことができた。
避難所に到着するとすでに人で埋まり、自家用車での待機を指示された。夜になっても対応されず、不安な状況の中、偶然に手話ができる友人と合流。「助かったと涙が出た」と振り返る。津波や地震の被害を知ることができた。数日、行動を共にし、原発事故の状況も教えてもらった。郡山市や沖縄県宮古島市に避難した。
現在は郡山市に住み、フラワーアレンジの教室などを開いているが、避難所の人たちと助け合いたかったという思いをずっと胸の内に抱えている。万一に備えた筆談機の準備や文字での情報伝達の充実、障害者にも対応できる避難所の空間づくりが重要とし、「周りに関心を持ち、理解してほしい。不自由だった私の経験が次に生きてほしいと強く願う」と締めくくった。
NPO法人富岡町3・11を語る会主催の「町のアーカイブで語り人アワー」で発表した。約20人が参加した。