福島のニュース
福島市出身のスポーツ写真家で米大リーグ公式カメラマンの田口有史さん(52)は、世界を飛び回りながら野球やハンドボールなどを撮り続けている。雑誌「Number」の「Number
SPORTS
OF
THE
YEAR
2025」のスポーツ報道写真賞で初代グランプリに輝いた。「『歴史の証人者』としてシャッターを切り続ける」と誓う。
静岡県で生まれ、福島市で育った。ともにハンドボール元日本代表の父侑義さん(87)と母幸子さん(81)に憧れ、福島高ではハンドボール部に所属した。進学後も競技を続ける道を模索したが、スポーツ全般に間近で携わりたいと思うようになった。「写真でも撮ってみようかな」。侑義さんの実家がカメラ屋を営んでいたこともあり、写真家を志した。
カメラを構えたことはほとんどなかった。東京工芸大短期大学部に進み、基礎知識や技術を一から学んだ。2年間の課程を修了後、米国のサンフランシスコ芸術大に留学。勉学に励む傍ら、フリーランスとしてMLB(野球)の試合に足を運んだ。
シャッターを切った数だけ腕前が上がった。「仕事になるかもしれない」。帰国後に知人を介し、大手を含む出版社約10社に売り込んだ。地道な活動が実を結び、スポーツ誌への写真提供にこぎ着けた。「ワールドサッカーダイジェスト」や「SLUGGER(スラッガー)」などにも掲載されるようになった。
活躍がMLB事務局の目に留まり、公式フォトグラファーとなった。野球のワールドベースボールクラシック(WBC)公式カメラマンやハンドボール男子日本代表に広報として同行するなど活躍の場を広げた。福島市で開かれたフォトコンテストの審査員を務めるなど地元とのつながりも大切にしている。
受賞したスポーツ報道写真賞は、写真家が撮る一瞬のシーンに光を当てる内容。一般公募の115人から長年、Numberに関わる編集者、写真家らに加え、フリースタイルスキー・モーグルの第一人者上村愛子さんが特別審査員として審査した。田口さんの一枚は「世界一の美酒」。2024(令和6)年に米大リーグドジャースが世界一に輝き、大谷翔平選手(31)がトロフィーを掲げながらシャンパンを浴びる光景を写した。
23日に都内で行われた受賞式に出席した。今回は、LEGEND賞に米国野球殿堂入りしたイチローさん、特別賞に大相撲元横綱・白鵬の白鵬翔さんらそうそうたるメンバーも受賞した。田口さんは「100%会心の一枚が撮れないから面白い」と受賞作を見つめながら写真の魅力を語った。
都内に居を構えつつ、年間150日程度渡米している。「スポーツの魅力を伝える手助けになれば」と決意を新たにした。

