福島のニュース
2月8日投開票の衆院選県内4小選挙区は構図が一変し、与野党入り乱れた混戦模様だ。自民党と四半世紀にわたり選挙協力してきた公明党は昨年10月に連立政権から離脱し、自民は日本維新の会と連立政権を組んだ。公明は公示直前に立憲民主党と新党「中道改革連合」を結成し、立民と共闘してきた共産党は反発。立民とともに労働組合を支持基盤としている国民民主党は県内で初めて公認候補を立てた。新興勢力の参政党も県内初参戦。政権や政党の枠組み変更で流動化する各選挙区の最新情勢をルポする。(文中敬称略)
県北地方の本県1区は自民党の新人西山尚利(60)、元自民衆院議員の長男で無所属の新人亀岡偉一(37)による保守分裂選挙に突入した。一方、中道改革連合に加わった立民出身の前職金子恵美(60)は連合福島との冷え込んだ関係に不安を抱える。いずれも不和の要因は、元をたどれば昨年11月の福島市長選にある。立候補した元立民衆院議員の馬場雄基(33)を巡って所属組織が割れた代償と言える。市長となった馬場は今回衆院選で「筋は通したい」として、市長選で支援を受けた自民西山の応援演説に立つ。県都決戦の“しこり”が色濃く残る現場を歩いた。
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◇■金子氏
司令塔を失い痛手
中道の金子氏やや先行―。序盤情勢調査の結果が報じられた29日、金子の選対本部幹事長で立民県議の半沢雄助は「肌感覚としては厳しい。全く油断できない状況だ。陣営全体で緊張感を持って戦い抜く」と語気を強めた。
金子陣営にとって、西山と亀岡が並び立ち保守層が割れる分裂選挙は願ってもない構図だ。加えて、公明が自民から離れ、立民とともに中道を結成したことも好材料となる。創価学会を支持母体とする公明の組織票を期待できるためだ。
順風満帆に見える陣営だが、本来いるべき司令塔の姿がない。金子の過去4回の衆院選全てで選対本部長を引き受け、陣頭指揮を執ってきた伊達市・伊達郡選出の県議亀岡義尚だ。立民や連合、労働組合などとの連携の要石となり、共産党とも呼吸を合わせて金子への側面支援を引き出し、政権批判票の上積みに汗をかいてきた。
亀岡義尚は昨秋の福島市長選で、立民福島市支部が推薦した当時の現職市長ではなく、立民衆院議員を辞めて挑んだ馬場の支援に回った。立民県連最大の支持基盤である連合福島との関係は悪化。背いた責任を取って離党し、金子の選対本部長も退いた。
衆院選公示の27日午前には「一兵卒として支える」として金子のポスター張りを手伝う義尚の姿があったが、指揮官の離反による集票不足を懸念する声が漏れ伝わる。ある陣営幹部は「選挙区全体を俯[ふ]瞰[かん]し、指揮できる唯一の存在だった。痛手だ」と組織力の低下を認めつつ、中盤戦の運動量を増やそうと気をもむ。新党結成で公明と連携するようになった金子に、公明と対立してきた共産がどこまで票を入れるのか。そこが未知数という。
金子は29日、本宮市中心部で街頭演説し物価高対策や食料安全保障の重要性などを訴えた。公明の本宮市議らが応援に立ち、立民県連と公明県本部の連携を強調して見せた。
◇
◇■西山氏
亀岡氏
保守一本化ならず
西山の選対本部長を務める自民県議の佐藤政隆は「新人なので『西山氏猛追』との報道は想定内だ。選挙は追いかける方が強い。必ず自民の議席を奪還する」と鼻息を荒くする。2024(令和6)年の前回衆院選では、当時の自民公認候補亀岡偉民の選対本部長を務めたが、今回はたもとを分かつ形となった。
高い支持率を維持する首相の高市早苗が公示日に西山の応援演説に駆け付け、政権与党とのパイプを有権者に印象付けた。地方議員や農業、商工、医療など各種団体、企業などの組織力を結集。28日に福島市で開いた総決起大会には約千人を集め、西山は責任ある積極財政による物価高の克服などを訴えた。2月1日に開く個人演説会の応援弁士は防衛相の小泉進次郎と福島市長の馬場に決まった。
福島市長選で西山は党福島市総支部が推した現職市長ではなく、立民出身の馬場を独自に支援し、勝利に導いた。造反は結果として不問に付されたことで、自民支持者の一部に不満がくすぶり続けた。この火種が公示直前での亀岡偉一擁立、保守分裂選挙につながったとみる向きがある。
「(立民の)亀岡(義尚)は離党したのに、西山はけじめをつけずに自民党公認をもらった。それがかわいくない」。偉民の連合後援会長で元JA福島五連会長の菅野孝志は、自民候補の一本化に向けた動きを一蹴。偉一を支えている。
偉一の父偉民は1区で比例復活を含め当選5回。農林水産相や建設相を歴任した祖父高夫(故人)の時代からの熱心な支援者が付いている。党桑折町支部長で桑折町議の半沢高もその一人だ。「亀岡家には恩義がある。正々堂々と応援したい」と公示直前に自民を離党した。
偉一は若さと情熱で福島を変えていくとし、政党や政治信条にとらわれない幅広い層に食い込もうとしている。【立候補者】西山
尚利
60
☆自民
新
[維]亀岡
偉一
37
無所属
新金子
恵美
60
☆中道
前(4)(届け出順、敬称略。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補。[維]は日本維新の会本部の推薦)◆前回2024年の1区開票結果当
124,441
金子
恵美
59
立民◎
84,351
亀岡
偉民
69
自民

