福島のニュース
36年ぶりの「2月決戦」となった衆院選は大学などの入試シーズンと重なる。2月8日の投開票に向けて舌戦が熱を帯びる中、受験を控える高校3年生らは追い込みに余念がない。公選法は選挙期間中の連呼行為に関し、学校周辺などでは「静穏の保持」に努めるよう定めているが、罰則はなく「良識」に委ねられているのが実情だ。県選管委を通じ、期間中に行う入試への配慮を申し入れた私大もあり、各陣営も慎重に対応している。
「入学者選抜の公平性を保ち、受験生が不利益を被らないよう格段の配慮をお願いします」。郡山市に工学部を置く日大は選挙日程の決定を受けて22日、試験会場付近の静穏保持を県選管委に申し入れた。キャンパス内では2月1、3、4の3日間、入試が行われるためだ。
県選管委はこれを受けて公示前日の26日、県内4小選挙区に候補者を擁立する五つの政党の県組織などに日大からの要請をメールで伝達。「静穏保持」に関する公選法の条文も添えて留意を促した。県選管委の担当者は「一律に過度な制約を求めるわけにもいかない」と選挙事務を担う立場を説明する。
福島、郡山両市など都市部を中心に公示以降、連日選挙カーが行き交う。活動頻度の多い駅前などには塾や予備校が立ち並び、入試を控える受験生が集中できる環境を求めて机に向かっている。福島市のJR福島駅に近い尚志学園専修学校福島高等予備校福島校では受験生が進路実現に向けてラストスパートの最中だ。伊藤哲教頭(59)は選挙活動に理解を示した上で「受験生に少しでも配慮をしてもらえるとありがたい」と教え子を思いやる。
受験生は張り詰めた日々を過ごしている。安積高3年の山田陽介さん(18)=三春町=は29日夕、勉強のため郡山市のJR郡山駅前のビッグアイ6階・市民プラザの学習スペースを訪れていた。選挙カーの声はそこまで意識しないが、同じ階にある期日前投票所の出入りや会話が気になった。「できれば、期日前投票所を置く場所を配慮してもらいたかった」と話した。
18歳は有権者の一員だが試験直前のため、投票を迷う人もいる。福島東高3年の佐藤翔真さん(18)は「受験は人生を左右する大きな節目」と言い切る。「政党や候補者の公約を見比べる余裕はない。今は勉強を優先したい」と打ち明けた。橘高3年の茂木優真さん(18)は昨年11月の福島市長選で初めて投票を経験した。今回もできれば投票に行きたいが、「受験の日程を考えると難しい面がある」と悩んだ。■陣営「不快にさせない」
県内の各候補者の陣営も入試の日程や学習環境に留意し、選挙カーの流し方に注意したり、街頭演説の音量を調整したりするなどの姿勢を心がけている。
福島市をはじめ県北地方が舞台の本県1区を戦うある陣営は学校や学習塾などの近くで支持を訴える際はマイクの音量を絞っている。選対幹部を務める県議は「試験を控える生徒はピリピリしているはず。不快な思いはさせたくない」と話す。各種試験の日程などを頭に置いた遊説ルートの設定を検討している。
中核市の郡山市が中心となる2区、いわき市がある4区にも、試験会場周辺での遊説を避けたり、局地的にマイクを切ったりするなどの気遣いや工夫を凝らした運動を展開している陣営がある。

