【ふくしま衆院選選挙区 最前線ルポ】4区 投票まで8日 複雑に入り組む組織票

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【ふくしま衆院選選挙区 最前線ルポ】4区 投票まで8日 複雑に入り組む組織票

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東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した浜通り全域の福島県4区。2024(令和6)年の前回衆院選で約7千票差の接戦を制した自民の坂本竜太郎(45)と比例東北で復活当選した中道改革連合の斎藤裕喜(46)の前職2人に、国民民主党の新人山口洋太(35)、共産党の新人熊谷智(46)が挑む構図だ。立民出身の斎藤、国民山口はともに、「反自民・非共産」を掲げる連合福島傘下の労働組合が支持基盤で、4区内で組合員約2万人といわれる組織票を食い合う。立民と新党中道を結成した公明党の組織票は浜通りで約2万票とされる。これまで選挙協力してきた自民坂本から、中道斎藤に公明票がどれだけ流れるのか。組織票が複雑に入り組んでいる。(文中敬称略)
斎藤の選対本部長を務める立民県議の古市三久は「労組票がまとまりさえすれば、もう少し有利に戦えたはずなのに」と眉をひそめる。
目算を狂わせたのは、国民の独自候補擁立だ。これまでは連合福島などと構成する「5者協議会」の一角として、立民と国民は候補者調整しながら協力し合ってきた。ところが今回は、東北での党勢拡大を目指す国民が突っ張り、山口を立てた。
官公労や運輸、情報などの組合は立民に、電力や自動車などの組合は国民に近い。労組を束ねる連合福島は、立民出身の斎藤と国民山口との間で股裂き状態に。どちらを推すかは各労組に判断を委ね、ともに「推薦」よりも支援の熱量が低い「支持」とした。
労組票の分散は、大票田いわき市を例に見ても明らかだ。いわき地区連合の加盟労組14団体の組合員は計約1万1千人。このうち斎藤を推すのは自治労やJP労組、基幹労連など7団体で組合員数は全体の3割。山口につくUAゼンセンや電力総連など7団体は全体の7割だ。
斎藤陣営の悩みの種はもう一つある。昨年9月のいわき市長選で、連合福島が推薦した候補に斎藤が非協力的だとして不協和音が生じたという。いわき地区連合の幹部は関係悪化を認めた上で「(国民民主の)山口が立たなくても(斎藤には)推薦を出さなかったかもしれない」とこぼす。
一方で、公明票は光明という。斎藤陣営の幹部は「公明は恩を恩で返す組織。自民候補が得ていた得票をそのままひっくり返せる」とほくそ笑む。28日にいわき市で開いた演説会で斎藤は、公明出身の前職庄子賢一とマイクを握り、新たな協力関係をアピールした。30日は、坂本の地盤である同市南部に攻め入って街頭に立ち、中道が高市政権との対立軸に据えた「生活者ファースト」を訴えた。







「相手は労組票が割れるとはいえ、こちらは公明の組織票を期待できない。党員、党友、支援団体への呼びかけをさらに強める」。坂本の選対本部長を務める自民県議の太田光秋が神経をとがらす先は、出て行く公明票だけでなく、国民による切り崩しだ。共同通信の序盤情勢調査で、国民山口は保守層の一部を取り込み、自民坂本と支持を分け合う結果が出た。
加えて、坂本陣営が弱点と認める相馬地方では前回衆院選で南相馬市と新地町で水をあけられた。浜通り13市町村で他に敗れたのは斎藤の地元である富岡町しかない。27日の公示日には4区候補者の中で唯一、相双地方を選挙カーで巡った。重点地区に位置付け、票の掘り起こしに躍起だ。
党員の減少と支援者の高齢化は既存政党が抱える共通課題。坂本の父剛二(故人)と元復興相の吉野正芳が旧5区で公認争いを繰り広げていた時代は、党いわき総支部を二分したエネルギーが自民の推進力になっていたとされるが、剛二の死去と吉野の政界引退で「良くも悪くも落ち着いた」(陣営幹部)という。
吉野の長男・嘉晃は30日朝、同級生の坂本を激励するため、いわき市勿来の勿来漁港に駆け付け、マイクを握った。「剛二先生と父に共通しているのは命を懸け、命を削って、古里のために働いてきたこと。2人の仕事を継続できるのは竜太郎君しかいない」。恩讐[おんしゅう]を超えて、党いわき総支部が一枚岩となって戦う姿勢を示した。
自民の連立パートナーとなった日本維新の会も全面的に支える。坂本の第一声には維新県総支部幹事長の山口和之が駆け付け、県内唯一の維新県議の鳥居作弥は自らの支援者を動員し加勢している。








共産の熊谷は30日、相馬市や飯舘村などを巡り、「自民党政治からの転換」を訴えた。【立候補者】山口
洋太
35
☆国民
新斎藤
裕喜
46
☆中道
前(1)熊谷


46

共産
新坂本竜太郎
45
☆自民
前(1)[維](届け出順、敬称略。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補。[維]は日本維新の会本部の推薦)◆前回2024年の4区開票結果当

85,751
坂本竜太郎
44
自民比

78,708
斎藤
裕喜
45
立民


19,879
熊谷


44
共産