福島のニュース
衆院選では消費税が経済対策の主な争点となった。大半の党が減税や廃止を公約に掲げ、税率や品目、時期を巡り応酬している。物価高に悩まされている県内の有権者は「暮らしの安定につながる」と期待する。一方、代替財源や制度の詳細、社会保障への影響を見通せない現状を不安視する人もいる。
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「消費税が減るのであれば、生活は助かる」。公示日の27日午後、田村市船引町の会社員鈴木恵美さん(32)は市内の屋内遊び場で2人の娘を遊ばせていた。論戦で最も注目しているのは消費税の行方だ。
同い年で会社員の夫と長女結梛[ゆな]ちゃん(4)、次女沙梛[さな]ちゃん(1)の4人で暮らす。食品や衣類などあらゆる物が高くなったと感じる。次女が使うおむつの値段も、長女がしていた数年前の約1・5倍に。衆院が解散した23日に公表された全国消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比3・1%上がり、4年連続で上昇した。娘の成長につれて生活費や教育費は膨らむ。出費を少しでも抑えようと市内に住む両親に野菜を融通してもらっている。
国税庁のまとめでは、2025(令和7)年度当初予算の消費税収は約25兆円。全税収の3割ほどを占め、年金や介護、医療、子育て支援など社会保障全般を支える。少なくとも年に数兆円とされる、減税による減収分をどう穴埋めするのか。「2人の将来にしわ寄せが行くのは困る」。物価高への対応を見比べ、疑問に答えてくれる候補者や政党に投票するつもりだ。
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各党の消費減税策の中身はさまざまだ。品目を食料品に限る案、一律に引き下げる案などがあり、期間や税率も一様ではない。
伊達市保原町でレストランや居酒屋などを営む木幡睦人さん(50)は「減税の在り方次第で、客足が遠のいてしまうかもしれない」と浮かない表情でメニュー表を見つめた。国は食料品(酒類除く)に軽減税率8%を適用している。食料品が課税対象外となった場合、店内飲食の税率10%との差が開いて「外食離れ」を招くのでは―との懸念がある。
帝国データバンクによると、飲食業を営む企業の倒産(負債1千万円以上)は昨年、過去最多の900件に上った。木幡さんも膨らむ食材費や光熱費、人件費に悩む。「減税するのであれば、広く国民に恩恵が行き渡る方法を探ってほしい」と熟議を願う。
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減税に加え、収入を増やすための対策を求める声もある。県内の最低賃金は1月1日から、時給1033円に引き上げられた。78円の引き上げ幅は過去最大で、中小企業は経営の維持と人件費の増大の間で揺れている。
郡山市の製造業ウインズ社長の渡辺勝さん(73)は「社員を守るためには、給料を上げないといけない」と胸中を明かす。1996(平成8)年に家業を継いだ。建物の骨組みや耐震補強に使う鉄骨の加工・製造を手がける。
賃上げを順次進め、正社員24人の給与は新たな最低賃金を満たす。賃上げ動向に合わせ、一層の引き上げも見据える。県鉄構工業組合理事長として、業界の地位を高める上で報酬の充実は不可欠と考えるからだ。
ただ、鋼材価格は4年前から7、8割上昇。付属品も軒並み上がった。工事の延期・中止が相次ぐ中、受注の減少が取引価格に影響を及ぼし、利益を出しにくい状況が続く。
渡辺さんは「地方や中小企業に目を向け、景気回復や投資を後押しする政策を示してほしい」と訴える。
衆院選は8日の投開票まで1週間。投票は物価高対応をはじめとする経済対策や農政、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興など、諸課題への対応を託す相手を選ぶ行為だ。与野党の枠組みが変わる中、一票を誰に託すべきか。論戦を見つめる県民の思いを伝える。◆消費税減税を巡る主要各党の主張【自民】飲食料品を2年間限定で消費税の対象外に。「国民会議」で検討加速【中道】今秋から恒久的に食料品消費税をゼロ。給付付き税額控除を導入【維新】飲食料品を2年間限定で消費税の対象外に。中長期的には8%【国民】賃金上昇率が物価上昇率+2%に安定するまで消費税は一律5%【共産】消費税は直ちに5%に減税し、将来的に廃止【れいわ】消費税を廃止。全国民に一律10万円を給付【参政】消費税は廃止。社会保険料を削減。国民負担率を35%に【保守】飲食料品の消費税率を恒久的に0%【社民】消費税率をゼロに引き下げ。インボイスを廃止【みらい】子どもの数に応じた「子育て減税」導入。消費税率は今のまま※公約に基づき作成

