福島のニュース
「令和の米騒動」を受け、米価は依然として高止まりしているが、販売が鈍り在庫がだぶつくとの見方から先安観の見通しは強まっている。石破前政権が打ち出したコメの増産方針は高市政権で事実上撤回された形。各党が衆院選で掲げるコメ政策も需要に応じた生産・販売、所得補償制度の創設、輸出拡大と農地の集約などさまざまだ。県内の農家らは安定した価格や生産の実現への道筋を示すよう求めている。
◇
◇
「国の方針が度々転換する『猫の目農政』に営農意欲をそがれ、種もみの確保などで右往左往させられてきた」
会津坂下町の農家武藤雄次さん(75)は愛用のトラクターに手を触れ、一貫した政策の実現を願う。
長男と共に約4ヘクタールの田んぼでコシヒカリや天のつぶを生産し、近所の農家の収穫作業なども請け負っている。県やJAなどでつくる県水田農業産地づくり対策等推進会議は、2026(令和8)年産の主食用米の作付面積目安を2025年産実績と同規模の6万7千ヘクタールに設定。武藤さんも生産面積を維持する計画をまとめた。
米価高騰で昨年産は高値で取引されたが、「店頭で(コメが)余り気味」との話も出ており、武藤さんは今年産については若干の値下がりを覚悟する。一方、資材費の負担は増しており、武藤さんが購入する肥料や防虫剤の価格もここ数年で2倍ほど値上がりした。「米価が安定すれば農家の意欲が持続し、若い就農者も増えるはずだ」と話す。
◇
◇
大玉村のあだたらの里直売所では昨年2~8月ごろ、全国的な供給不足で、店頭からほとんどコメが消えた。村と協議し生産者が支払う販売手数料を従来の17%から12%に下げ、コメを集めやすくする臨時措置を講じた。店長の矢吹吉信さん(52)は「需給均衡の取れた生産が続かなければ、販売業者や消費者も振り回される」と現場の声を代弁する。
各党は流通実態把握の強化、急落する恐れがある場合の農家への直接支払制度などを公約に掲げた。矢吹さんは「農業・産地の維持には農家の収入の安定が大事」とし、極端な価格変動による差額を保障する制度の必要性を訴える。
◇
◇
米価高騰の長期化は酒米などの加工用にも及ぶ。今季の仕込みが最盛期を迎えている南会津町の国権酒造では、酒米の仕入れ値が昨年の1・6~1・7倍ほどに上がった。社長の細井信浩さん(53)は「商品の値上げを検討しなければならない…」と悩む。
全国的に日本酒の消費量が右肩下がりとなる中、酒米価格の高騰は酒蔵にとって痛手だ。県や南会津町は酒米の価格上昇分を補助する制度を設けたが、酒米をつくる農家への支援は十分ではない。細井さんは国による援助も不可欠とし、「蔵元と農家が一緒に生き残れるような仕組みが必要」と訴える。■コメ政策など農業を巡る主要各党の主張【自民】コメの需要に応じた生産・販売。全ての田畑の活用を基本とする新たな水田政策の創設【中道】直接支払制度の創設。単なる減反、増産ではないコメの安定供給の確保【維新】コメの生産量拡大を推進。輸出を大幅に拡大し、国内外の需要に対応した生産体制を構築【国民】「食料安全保障基礎支払」の導入。水田フル活用政策と新たな水田政策の推進【共産】コメの生産、備蓄の拡大。コメや水田関連予算の1兆円増など農林水産予算の拡充【れいわ】備蓄米など食料備蓄の大幅増。農林水産業の所得補償や就農者支援の充実【参政】食料自給率目標100%。増産・輸出政策への転換によるコメ生産量上昇【保守】就業人口の増大・増産、国内産品の国内消費強化など農林水産行政の抜本的見直し【社民】農家への所得補償。食料自給率50%を目指し農作物の流通と価格安定を実現【みらい】乾田直[ちょく]播[は]、節水かんがいの研究開発促進。持続可能な農業を地方創生の核に

