【2026ふくしま衆院選 県民の視点】廃炉・除染土処分 疑問と不安募るまま 論戦深め道筋示して

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【2026ふくしま衆院選 県民の視点】廃炉・除染土処分 疑問と不安募るまま 論戦深め道筋示して

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東京電力福島第1原発の廃炉は双葉郡をはじめ福島県の復興に欠かせない。最難関とされる溶融核燃料(デブリ)の取り出しは緒に就いたばかり。中間貯蔵施設(大熊、双葉両町)に残る除染土壌の県外最終処分もめどが立っていない。「本当に実現できるのか」。全国的には低い関心や、深まらない議論に、県民の疑問や不安は募る。







県が4日に発表した2026(令和8)年度当初予算案には、来月で発生15年となる東日本大震災と原発事故からの「復興・創生分」約1970億円が計上された。関連事業は営農再開や漁業再生、帰還促進など多岐にわたる。ただ、廃炉や除染土壌の処分はあくまで国が解決すべき問題だ。
公示日の1月27日、自民党と中道改革連合のトップが県内でマイクを握り、復興を進める姿勢を示した。「課題解決に向けた道筋をつける」「復興の課題解決に向け総力を結集する」。両党の公約には前向きな文言が並ぶが、具体策は見えにくい。公約で触れない党も少なくない。歳月の経過による「風化」、県民と中央の「距離」がにじむ。







富岡町の会社員猪狩考平さん(37)は「第1原発の廃炉は産業育成と並ぶ復興の大前提だ。国政に携わる人には責任感を持ち、達成への具体策を示してほしい」と求める。
日大工学部(郡山市)の卒業を控え、町内小浜に帰省中に震災に遭った。実家は流され、庭師だった祖父功さん=当時(73)=は行方不明のままだ。いわき市や猪苗代町への避難を経て、地域に根差した祖父の思いを継ごうと決意。地元の建設会社で漁港の復旧や除染、災害廃棄物の焼却などに励んできた。
国と東電が工程表で目指す2051年の廃炉完了には、1~3号機で880トンと推計されるデブリへの対処が避けて通れない。回収できたのはわずか約0・9グラム。「残り25年で完了するのは無理ではないか」との懸念が頭をよぎる。
3月末、実家のあった小浜地区の高台に建てた新居にいわき市から移る。妻可奈子さん(37)と昨年10月に生まれた長女柚羽ちゃんも一緒だ。家財道具を少しずつ運び入れている。
東電の協力企業で廃炉に従事する知り合いも多い。原発の行く末は一家と地域の将来に関わる。責任感を持ち、廃炉の道筋や指導力を示してくれる相手に一票を託すつもりだ。「どう廃炉を完遂し、地域を復興させるのか。現実的なビジョンがほしい」と注文する。







中間貯蔵施設に土地を提供した人々は、除染土壌の県外最終処分の行方を注視する。国が法律で完了期限とした2045年3月まで20年を切る中で迎えた衆院選では、物価高対応などの経済対策に注目が集まりがちだ。
「約束は本当に守られるのか」。大熊、双葉両町の地権者有志でつくる「30年中間貯蔵施設地権者会」会長で、現在は東京都内に避難している門馬好春さん(68)=大熊町=は、政治への不信を隠さない。除染土壌の処分は全国的な問題のはずだ。にもかかわらず、都内で選挙戦を戦う各党や候補者が取り上げることはほとんどない。
政府は昨年8月に公表した県外最終処分の工程表で候補地選定の時期を2035年ごろと明記。鍵となる処分量の削減に向け、再生利用可能な土を「復興再生土」と呼び、首相官邸などで活用している。ただ、中間貯蔵の開始から11年を経ても大きな進展がないのが実情だ。
門馬さんは「もう時間がない」と気をもみ、国民的な関心の高まりを願う。各党・候補者に「具体的協議と理解醸成を急いでほしい」と訴える。