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21日に福島市の県立美術館で開幕した「大ゴッホ展
夜のカフェテラス」には、世界的名画を一目見ようと県内外から多くの美術ファンらが足を運んだ。情熱の画家フィンセント・ファン・ゴッホの作品を間近で目にした人たちは、その筆遣いや色彩を記憶にとどめた。来場者が鑑賞の前後に周辺の飲食店や宿泊施設を利用するなど、地域への人流も生まれつつある。福島がゴッホの色に染まり始めた。
午前9時30分の開館前から、美術館の入り口の外には入場を待つ人が列を作った。一番乗りした福島市の小学校教員藤井翔太さん(38)は開館直後の時間に入場予約していた。ただ、他の人より早く入館し、よりじっくり鑑賞したいと、午前7時ごろから待機した。「著名な作品を地元で見られるまたとない機会。会期中にもう一度来る予定だ」と声を弾ませた。
会場の一部は撮影が可能で、来場者は作品を写真に収めたり、至近距離で鑑賞したりした。「夜のカフェテラス」のデジタル展示もある。俳優綾瀬はるかさんによる音声ガイドを利用した桑折町の公務員丹治愛莉さん(33)は「ゴッホが何に悩み、誰の影響を受けたのか聞きながら絵の変化を見るのは一緒に生きているような感覚で面白かった」と話した。特に印象に残ったのは初期に描かれた農民や田舎の風景で「福島と重なった。この場所で開催できた意味や縁を感じられる展覧会だった」とほほ笑んだ。
子どもたちにも世界的名画に触れてもらうため、県内の高校生以下は入場無料となっている。子どもと訪れた福島市の主婦武藤麻実さん(40)は「海外に行かなければ鑑賞が難しい作品を直接見せたかった」と思いを語った。息子2人は「夜のカフェテラス」を見て「青の星空がきれいに見えた。友達にも絵のことを伝えたい」と声をそろえた。■ゴッホに影響受けた日本人画家の作品も
大ゴッホ展に合わせ、美術館では常設展「『白樺派』と大正洋画―ゴッホに憧れた日本人画家たち」が3月31日まで開かれている。白河市出身の洋画家関根正二(1899~1919年)をはじめ、木村荘八や岸田劉生ら雑誌「白樺」を通じてゴッホに強い影響を受けた画家たちの作品約40点を展示している。大ゴッホ展の観覧券で鑑賞できる。■目立つ交通渋滞なし
駐車場は使用不可、公共交通の利用を
開幕初日、美術館周辺の道路で目立った交通渋滞は発生しなかった。
5月10日までの会期中、渋滞緩和のため美術館の駐車場は使えない。多くの来場が見込まれる土日祝日は、市清水支所などに臨時駐車場を設けている。実行委員会は臨時駐車場や公共交通機関を利用しての来館を呼びかけている。■盛り上がり波及
「ゴッホ飯」でにぎわいを
展覧会の盛り上がりは地域にも波及している。福島市の喫茶店・珈琲グルメは、市内の飲食店に作品をイメージしたメニューを開発してもらう市の企画「ゴッホ飯」に参加している。鑑賞後、ゴッホの「ひまわり」を題材にしたパフェを注文する客の姿があった。店を構えるJR福島駅東口周辺は、再開発事業の遅れでにぎわいが乏しい。店長斎藤学さん(50)は「展覧会がつくる駅前への人流に期待している。市内を巡り各店の味を味わってほしい」と期待を寄せた。
静岡県の公務員村上ひろみさん(56)は開幕前日に市内入りし、福島駅前に宿泊した。大ゴッホ展は5月から東京・上野でも開かれるが、「混みそうなので以前から親しみがあった東北の福島会場を選んだ」と話した。
市内飯坂町の穴原温泉・吉川屋でもゴッホ展を目的とした宿泊者が見られた。3連休も相まって、温泉街には多くの観光客が訪れている。女将[おかみ]畠ひで子さんは4月に始まる大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」に触れ「温泉街のさらなる活性化に向けて準備する」と意気込んだ。大ゴッホ展 福島展

