【震災・原発事故15年】「防災フェス」未来に響け 音楽の力で記憶継承 福島県郡山市出身の陰山弘暉さん

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【震災・原発事故15年】「防災フェス」未来に響け 音楽の力で記憶継承 福島県郡山市出身の陰山弘暉さん

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東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を直接知らない世代が増える中、「3・11」の記憶を音楽の力を借りて次世代に継承しようと取り組む大学生がいる。福島県郡山市出身の陰山弘暉さん(21)=東京・デジタルハリウッド大3年=だ。7日に防災と音楽を組み合わせたユニークな「BOUSAI
FES(防災フェス)」を市内で初めて開く。自らと同世代の若者が音楽に親しみながら防災意識を育み、被災地の今を学ぶ機会をつくる試みだ。
陰山さんが社長を務める会社「Yappe(やっぺ)」の主催となる。国内最大級の屋外音楽イベント「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル(ロッキン)」に出演歴のあるバンドなど3組がステージに立つ。演奏の合間に出演者が震災や防災に関するトークを展開する。アーティストが自らの言葉で思いを込め、日頃の備えの大切さを訴える。聴衆から横断幕に寄せ書きを募り、イベント後に双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館に展示する。都内と県内の年2回開催を定着させる計画だ。陰山さんは従業員や友人ら約10人と準備を進めている。
15年前に起きた震災での体験が行動の原点となった。激しい揺れ、外遊びできない不自由さ…。小学校入学直前の6歳だったが、当時の不安や怖さは胸に刻まれている。
郡山四中3年だった2019(令和元)年10月の台風19号では、泥水が自宅の庭に押し寄せた。二つの大規模災害を経験し、防災の大切さを継続的に発信する思いを強くした。日大東北高3年だった2023年3月11日、ボランティア団体「防災me(ミー)」を設立した。
大学進学で上京。留学生に福島県出身だと伝えると、「(福島に)住めるのか」と問われた。震災から10年以上経過しても正しい情報は伝わっていないと痛感した。「被災の実態や福島の歩みを知ってもらわなければ」と、決意は固まった。
ウェブサイトでハザードマップの確認など日頃からできる備えを紹介したり、都内で防災イベントを開いたりしたが、情報を幅広く届けられている実感を持てなかった。着目したのが趣味の音楽鑑賞だった。ライブで曲間に聴衆に語りかける歌手の言葉がいつも心に残っていたからだ。「防災と絡められないか」。思案を巡らせた。
アーティストの所属事務所に趣旨を説き、出演を交渉した。「防災の日」の昨年9月1日に都内で試験的にライブを催すと前売り券は完売。当日券を含め約280人が詰めかけた。出演者が防災の重要性などを呼びかけた結果、交流サイト(SNS)には「防災の日を初めて知った」などの投稿が相次いだ。「やりたかったのはこれだ」。思いが届いたと確信した。
今回の出演者のうち、ロックバンド「ルサンチマン」は昨年9月の都内開催に続くステージ。ボーカル・ギターの北[ぺい]さん(23)は陰山さんの熱意に触れ、「同世代に刺激を受けた。マイクを通し、フェスの目的を発信したい」と話す。
陰山さんは「音楽を楽しめる日常が当たり前ではないことを多くの人に知ってほしい」と訴えている。
防災フェスは7日午後6時から、郡山市のHIP
SHOT
JAPANで開く。出演バンドはルサンチマンの他、仙台市発の「鉄風東京」、東京都を拠点とする「anewhite」。前売り券は一般4500円、学生4千円(ともに税込み)。フェスの公式サイトで販売している。問い合わせは公式サイトから。