【震災・原発事故15年 復興を問う】赤沢亮正経産相 石原宏高環境相

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福島のニュース


東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から15年となるのを前に、赤沢亮正経済産業相、石原宏高環境相は福島民報社のインタビューに書面で回答した。■赤沢亮正経産相
廃炉を着実に進める
地元企業の参入拡大重要
赤沢経済産業相は長期にわたる福島第1原発の廃炉を着実に進展させるため、地元企業の参入を拡大し、廃炉現場で作業従事者に誇りを持ってもらうための理解醸成活動に注力する考えを示した。
―政府が掲げる2051年までの廃炉完遂に向け、今後25年の必要な取り組みや課題をどう考えるか。
「デブリ(溶融核燃料)の大規模取り出しなど廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入る。周辺環境や現場作業員の安全確保を最優先に、着実に対策を進めていく。特に、高線量環境下の作業エリアでは大規模な遠隔作業が必要だ。廃炉ロボットなどの現場への実装は安心と安全の提供のみならず、わが国の経済成長の推進力になる。長期にわたる廃炉作業では地元企業の参入拡大など『地域との共生』に向けた取り組みも重要だ」
―廃炉人材の中長期的な確保や専門技術者の継続的な育成も不可欠だ。
「経産省として原子炉内部を調査するロボットやデブリ回収装置の開発、廃棄物の分析などに関する研究開発を支援している。その中で大学、日本原子力研究開発機構(JAEA)、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)などの研究機関、企業での人材育成を進めている。長期にわたって人材を確保する上で、廃炉作業に従事する方々が誇りを持って臨める現場であることが重要で、廃炉の現状や意義に関して理解醸成につながる情報発信にも努めたい」
―高レベル放射性廃棄物の処分の問題は、原発立地地域や原発事故被災地への押し付けとならないよう、今から国民に理解を求めていく必要がある。
「高レベル放射性廃棄物の最終処分は、将来の世代に先送りできない国家的課題だ。処分地の選定は日本全体の課題で、広く全国に調査地域を拡大していくことが必要だ。処分地の選定に向けた調査を地域任せにせず、国の責任で地域に協力をお願いしていくと、1月に全国の都道府県知事に文書を送った。今月には東京都小笠原村南鳥島での文献調査実施を申し入れた。各地域の方々や国民に理解を深めてもらえるよう国が前面に立って取り組む」
―専門家からは現状の放射性廃棄物の保管方法のままでは福島第1原発の敷地が足りなくなる可能性があるとの指摘が出ている。
「東京電力が今後10年程度の保管管理計画を作業の進捗[しんちょく]を踏まえて毎年更新している。廃炉作業を進める上で敷地を効率的に活用していく必要があり、放射性廃棄物の総量を減らすことが重要になる。放射性廃棄物の焼却や減容処理を実施している他、金属廃棄物の熱溶解による減容化を検討している。処理水の海洋放出に伴い貯蔵タンクの解体を進め、空いた区画にデブリ取り出し関連施設などの建設を計画している」
―浜通りに企業を呼び込む自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を巡っては、雇用要件の厳しさや地域経済への波及効果などの課題が指摘されている。
「いわゆる企業立地補助金は被災地での働く場確保などのため極めて重要だ。自治体や地域の実情も踏まえ、条件を①雇用要件については雇用人数の最低水準を引き下げる②「地域の稼ぎ」の創出のため一定の事業者には福島県内での部材などの調達などを求める③企業市民として地域の交流人口の拡大や防犯・見守り、清掃・除草などの実施を進出企業に促す―と改める。進出企業と地域との共生・共創を一層進める。県や地元自治体、関係機関などとも今まで以上に一体となり、新たな産業基盤の構築に全力で取り組む」■石原宏高環境相
県外処分へ政府一丸
「再生利用」進め量を低減
石原環境相は原発事故に伴う除染で出た土壌の県外最終処分の実現に向け、公共工事などに使用できる基準を満たした「復興再生土」への理解を全国に広げるため、地方にある国の出先機関での利用を拡大していくと強調した。
―除染土壌の2045年3月までの県外最終処分は重要な課題だ。
「福島の復興は環境相として最も力を入れて進めたい政策の一つ。福島県内で生じた除去土壌などの中間貯蔵開始後30年以内の県外最終処分の方針は国としての約束であり、法律にも規定された国の責務だ。実現には除去土壌のうち放射能濃度が基準値以下の復興再生土を適切な管理の下で土地造成や盛土などに利用する『復興再生利用』を進め、最終処分量を低減させることが鍵となる」
―復興再生土の利用はわずかで全国的に理解は深まっているとは言えない。どのように取り組むのか。
「政府が率先して事例を創出するため、昨年8月に決定した当面5年程度のロードマップに沿い、首相官邸や中央官庁の花壇など9か所で復興再生利用を進めてきた。今後、地方の出先機関などに拡大していく予定だ。これらの現場を積極的に活用し、復興再生利用の安全性・必要性を広く国民に理解してもらう」
―復興再生土の理解醸成や利用促進に向け、自民党内からは2027年国際園芸博覧会(花博)など象徴的な大規模イベントでの活用を提案する声がある。
「大阪・関西万博でも県外最終処分や復興再生利用に向けた取り組みを紹介するために、除去土壌を用いた鉢植えの展示などを実施し、多くの方に必要性や安全性などを理解してもらえる機会となった。こうした実績を踏まえ、引き続き関係省庁ともよく相談しながら検討を進める」
―最終処分のシナリオなどを具体化するため環境省が設置した有識者会議は昨年9月の初会合以降、開催されていない。
「昨年9月に開催した『環境再生に関する技術等検討会』で、県外最終処分場の施設管理の終了の考え方や中間貯蔵施設内での土壌の取り出し・運搬などの検討事項を整理した。現在はそれに沿って検討を進めている。引き続き、検討会で議論しながらロードマップに基づき、県外最終処分実現への取り組みを政府一丸となって着実に進める」
―帰還困難区域の農地の除染を求める声が地元で出ている。除染する農地の拡大についての考えは。
「特定帰還居住区域に現時点で含まれていない農地に関しては、まずは地元自治体が中心になって帰還意向を踏まえ、帰還する住民の生活圏として区域の範囲が調整されていると承知している。環境省としては農地を含め、特定帰還居住区域と認定された範囲は住民が安全・安心に帰還し、生活再建できるよう除染などに着実に取り組む」
―再生可能エネルギーについて、県は「先駆けの地」を目指し導入を推進してきた。福島県振興にも関わる再エネの普及をどう進めていくのか。
「環境省も『福島再生・未来志向プロジェクト』で脱炭素のまちづくりを支援している。2050年ネットゼロ(カーボンニュートラル)実現に向け、再エネの導入拡大が必要だ。一方、一部の地域では安全、景観、自然環境などへの懸念が生じる事例が起きており、国民や地域の信頼を確保しながら進めることが重要。地域と共生できない再エネは抑制していく。地域共生型再エネへの支援の重点化や、日本発の技術であるペロブスカイト太陽電池の導入支援を通じた社会実装を進めていく」