【震災・原発事故15年 復興を問う】内堀雅雄知事 除染土の福島県外最終処分 具体的な工程提示を

  • [エリア]
【震災・原発事故15年 復興を問う】内堀雅雄知事 除染土の福島県外最終処分 具体的な工程提示を

福島のニュース


福島民報社のインタビューに応じた内堀雅雄知事は、東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の2045年3月までの福島県外最終処分について「限られた時間の中で多くの課題を着実に解決していく必要がある」とし、最終処分場候補地選定後の用地取得や建設、中間貯蔵施設からの土壌の運搬など具体的な工程を速やかに示すよう、改めて国に求めた。4月からの大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン」を生かし、福島県の現状を広く発信していく考えを示した。(聞き手・編集局長
角田守良)■「国に取り組み加速訴える」
―震災と原発事故の発生から11日で15年となる。復興の現状と課題の認識を伺う。
「避難地域では公共インフラ、医療・介護や商業施設、学校といった生活環境の整備が進むなど、復興は着実に前進している。55の国と地域で行われていた農林水産物の輸入規制は五つの国・地域にまで減少した。2024(令和6)年度の県産農産物の輸出量は過去最高を更新し、観光客の入り込み数や移住者数が過去最多になるなど、これまでの挑戦の成果が目に見える形となっている。一方で、今もなお2万3千人を超える方々が避難生活を続けている。新たな課題やニーズも顕在化してきており、福島の復興はこれからも長く厳しい闘いが続く。特に福島第1原発の廃炉は前例のない取り組みだ。県内原発の全基廃炉が安全かつ着実に進められることが復興の大前提となる。国と東電に対し、廃炉の完成まで総力を挙げて取り組むよう強く求めていく」
―2026年度は第3期復興・創生期間の初年度になる。
「新年度からの5年間は避難者の帰還や生活環境の整備、福島イノベーション・コースト構想の推進、風評払拭や風化の抑制など、これまで以上に力強い取り組みが必要となる。地方創生や人口減少対策も進めなくてはならない。県民や福島に思いを寄せてくださる方々との連携、共創の場を広げ、県民が将来に夢や希望を持ち、豊かさや幸せを実感できるよう、全力で挑戦を続けていきたい」
―除染で生じた土壌の2045年までの県外最終処分の実現に県はどのように関わっていくか。
「県外最終処分は中間貯蔵施設の受け入れという苦渋の決断の前提として国が約束し、法律に定められた国の責務だ。残された時間は20年を切っており、限られた時間の中で多くの課題を着実に解決していく必要がある。国が昨年8月に示したロードマップには、おおむね2035年をめどに県外最終処分場候補地を選定すると明記された。ただ、候補地選定後の用地取得や建設、運搬などについて具体的なプロセスは示されておらず、依然として県民が県外最終処分の全体像を具体的に把握できない状況にある。2045年3月までの具体的な工程表を速やかに明示し、取り組みを加速化させるよう国に強く訴えていく」
―依然として根強い風評の払拭と風化の防止が課題だ。
「県産農林水産物への輸入規制は少なくなったが、輸出が可能となった国・地域でも風評は残っている。県産品の魅力と安全性を継続的に発信するとともに、見本市などを活用しながら販路拡大に努めていく。時間の経過とともに進んでいる風化については、『伝わる』情報発信により、福島県に対するイメージのアップデートを図り、共感の輪をさらに広げていく。震災や原発事故を知らない世代が増え、当時の経験を語れる方々も高齢化が進んでいることから、震災の記録と教訓を『自分事』と捉え、しっかりと伝えていけるよう取り組む」
―4月からの大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」は福島県の今の姿を伝える貴重な場になる。
「国内外の方に福島のファンになってもらう機会だ。県民の『優しさ』や食べ物の『おいしさ』は旅をした人の心に残る。『優しさ』や『おいしさ』は共感の輪を広げるのに大事な要素だ。末永く福島を応援してくれるファンを増やすために力を尽くす」