福島のニュース
11日午後2時46分。福島県内は静かに祈りの時を迎えた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から15年。県民は犠牲となった尊い命を悼み、記憶と教訓を決して忘れず未来につなぐと誓った。平穏な日常を奪った原発事故。避難区域は少しずつ解除され、被災地に暮らしの営みが戻りつつある。だが、復興はいまだ道半ば。今年は現在の福島県が誕生してから150年の節目でもある。もう一歩、前へ。古里の再生と創造の挑戦は続く。
県の追悼復興祈念式は福島市のパルセいいざかで厳かに行われた。巨大地震が発生した午後2時46分に合わせ、黙とうをささげた。
震災発生時は浪江町に住み、津波で父親を亡くした鈴木祥高[よしたか]さん(43)=相馬市=は遺族代表として登壇し、「15年という数字だけで区切りを付けることは、どうしてもできない」と心境を吐露。それでも前を向き、「福島がいつの日か真の意味で希望の地になったことを父に報告できるよう、一日一日を大切に歩んでいく」と決意を示した。
被災地には、なりわいの再生や廃炉など課題が山積している。記憶と教訓の風化も突き付けられている。内堀雅雄知事は式辞で「復興の道のりは遠く、高く険しい壁が立ちはだかっているが、私たちは決して負けない」と、果敢に地域創生に努めていく考えを強調した。矢吹貢一県議会議長は「二度と同じ悲しみが繰り返されることのないよう、記憶や教訓を後世に伝えていかなければならない」と述べた。
高市早苗首相は追悼の辞で、今年中に防災庁を設置する方針を改めて示し、「災害に強い国づくりを進めていく」とした。
若者世代代表として会津学鳳高の武内聡美さん、庄條のりさん(ともに2年)、進藤慶さん(1年)の3人がステージに立った。震災と原発事故を決して忘れないとし、自分たちの手で未来を切り開いていくと力強く約束した。安積黎明高合唱団が「瑠璃色の地球」と「群青」の2曲を献唱した。
祈念式には57カ国・地域の駐日大使ら国内外の合わせて約400人が参列した。日本フィルハーモニー交響楽団が演奏する中、高市首相、内堀知事らが献花した。福島民報社から芳見弘一社長が出席した。
県内各地で追悼行事が繰り広げられた。いわき市久之浜地区の防災緑地では人々が太平洋に向かい、手を合わせた。■除染土壌の県外最終処分で首相
「2030年以降の道筋具体化」
県の追悼復興祈念式に出席した高市首相は報道陣の取材に応じ、東京電力福島第1原発事故の除染で出た土壌の県外最終処分に向け、「2030年以降の道筋を具体化させる」とあらためて述べた。2051年までの廃炉完了を目指す福島第1原発については「地元の理解を得て取り組むよう東電を指導するとともに、国も前面に立って最後まで責任を持つ」とした。
2026(令和8)年度から第3期復興・創生期間に入る。被災地の生活環境の整備や営農再開、産業の集積に努めると強調。「福島の復興は長い道のり。決して風化させてはならない」とし、復興に関する財源は国が責任を持って確保すると明言した。

