福島のニュース
福島医大医学部糖尿病内分泌代謝内科学講座の島袋充生主任教授らの研究チームは、糖尿病患者の重症化リスクを人工知能(AI)で予測する世界初のシステム「福島医大糖尿病未来予測ナビ」を開発した。24日、発表した。将来の重症化リスクを可視化することで、患者ごとに生活習慣改善や投薬治療を先回りして最適化する「先制医療」が可能になり、重い合併症の予防や医療費の抑制につながると期待される。糖尿病未来予測ナビは、5月に福島医大ホームページで無料公開する。パソコンやスマホで誰でも利用できる。使用イメージは【図】の通り。体重や血糖値、糖尿病と診断された年齢、腎機能の数値など糖尿病患者の一般的なデータ約20項目を入力すると、AIが十数秒ほどで解析。合併症リスクに応じて、重症は自己免疫型、インスリン欠乏型、インスリン抵抗性、軽症は肥満関連型、加齢関連型の五つの糖尿病タイプに分類される。人工透析が必要になる度合いなどを推計する。例えば重症化リスクが高いインスリン抵抗性糖尿病は血糖を下げるインスリンが作用しにくいとされ、8年後に透析が必要となる確率が約4%に達する。一方、肥満関連型糖尿病は8年後の透析リスクが0・5%程度にとどまる。分類の妥当性は日本糖尿病学会が運営する国内最大の糖尿病患者診療録データベース「J―DREAMS」を基にして検証を重ねる。データ入力が足りない場合でもAIが補完する独自技術(特許出願中)を搭載している。厚生労働省によると、国内の糖尿病患者は約1100万人で、成人の10人に1人と推計される。慢性的な高血糖が引き起こす合併症「糖尿病性腎症」によって、人工透析に至るケースは新規透析患者の約4割に上るという。糖尿病は患者によって腎症や網膜症、神経障害などの合併症の進み方が異なるのが特徴で、腎機能低下やタンパク尿といった症状が出た後の「事後対応型」の診療が中心。人工透析が必要になる前に重症化リスクを予測するのが難しく、課題となっていた。島袋教授は「(未来予測ナビで)重症化リスクが高い分類に位置付けられても、早い段階で生活習慣の改善や薬の適正な処方を行えば、ほとんどのケースで重症化を防げる」と強調し、「患者一人一人を最適な治療に導く個別化医療の促進につなげたい」と話している。未来予測ナビは千葉大や国立健康危機管理研究機構(JIHS)との共同研究で、システム開発では郡山市のIT企業エフコムと連携した。国内外の医療機関にも予測ナビを活用してもらい、集積した匿名の利用データは福島医大の知見として今後の糖尿病研究などに活用していく。

