〝凶暴〟熊 登山ご用心 昨秋餌不足、冬眠明けて… 山開きイベント中止も 警戒の花火、例年より増やす

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〝凶暴〟熊 登山ご用心 昨秋餌不足、冬眠明けて… 山開きイベント中止も 警戒の花火、例年より増やす

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登山シーズンを前に、福島県内の関係者は熊対策に頭を悩ませている。県によると昨年の餌不足の影響で例年以上に空腹で気性が荒い個体が冬眠から明けて出没する危険があるためだ。喜多方市では熊への懸念などを理由に一部で山開きイベントを見送り、登山者に細心の注意を促している。他の関係者も花火を鳴らすなど対策を徹底する。ただ、長い山道全てに熊への監視の目を行き届かせるのは難しい。山歩きの愛好者は自衛や警戒を強めている。「状況が見通せない」。喜多方市と西会津町にまたがる鳥屋山(580メートル)では、実行委員会が熊の出没が心配されるため、4月中旬に市内高郷町で予定していた山開きイベントを中止した。高郷町では冬眠するはずの熊が冬の間に民家へ入り込んだ。多い年には約500人が参加する行事だが、市高郷総合支所の担当者は「安全には代えられない」と語る。山開きイベントがなくても山に立ち入ることはできる。実行委員会事務局の市は登山口に山開き中止を知らせる看板と共に熊出没注意の看板を置き、継続的に警戒を訴えている。同市の黒森山(917メートル)でも影響が出ている。山都側と熱塩加納側の2ルートで登山できるが、昨年に熊の目撃が相次いだ山都側の山開きイベントを中止とした。市山都総合支所は山菜採りが本格化する4月上旬までに登山口周辺に看板を設置し注意喚起する。会津坂下町の高寺山(402メートル)は、会津地方で最も早い4月18日に山開きを迎える。先導者が打ち上げるなどする花火を例年の5本から15本へ増やす対策を講じる。餌を求める熊は人に対して大胆な行動に出る傾向がある。5月3日に実施する熱塩加納側の山開きイベントでは、熊を呼び寄せないよう、例年実施していた山頂での芋煮の振る舞いを取りやめる。磐梯山(1816メートル)の三つの登山口がある猪苗代町はシーズン中、登山者に食料品を山に捨てないよう求める。県警によると、県内の1月から3月25日までの熊目撃件数は68件で、前年同期より59件多い。今後、熊の活動が活発化するとして、登山愛好者にも警戒感が広がる。福島登山ガイド事務局長を務める福島市の渡部あけみさん(67)は、山に入る際は複数で出向くよう心がけている。熊は人を襲う際、頭部を狙う可能性があるとされており、今年は特に仲間にヘルメットをかぶるよう勧めている。遭遇時、ゆっくり後退熊が冬眠から覚め始めている中、福島大食農学類の望月翔太准教授は登山中に遭遇した際は目を離さず、ゆっくり後退するよう助言している。万一、襲われた場合はうつぶせになり、頭や首を手やリュックサックで覆う防御姿勢を取ることで重傷化を免れる可能性があるとしている。遭遇しないための注意点として①熊の出没情報を事前に確認する②熊鈴やラジオなどで音を出し、人の存在を知らせる③単独行動を避け、複数人で声を出しながら行動する―などを挙げた。山開きイベントの主催者側には、熊撃退スプレーを登山者に貸し出す安全対策を求めた。