福島県只見町の地層から新種化石 県立博物館 国内2例目ムカシアシナガアリ属 昆虫進化、多様性解明へ

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福島県只見町の地層から新種化石 県立博物館 国内2例目ムカシアシナガアリ属 昆虫進化、多様性解明へ

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県立博物館(会津若松市)の猪瀬弘瑛主任学芸員らの研究グループは、福島県只見町の新生代新第三紀中新世(約1300万~約1000万年前)の地層から、ムカシアシナガアリ属の新種の化石を発見した。会津で昆虫化石が見つかるのは初めて。同属のアリ化石の分布は欧州が中心で、国内では長崎県に次いで2例目。関係者は昆虫の進化や多様性を解明する上で重要な資料になると期待している。県博が2日、発表した。化石は2014(平成26)年に種村竜之介さん(当時中央大学生)が只見町の布沢層で採集し、県博に収蔵されていた。猪瀬主任学芸員と、昆虫化石を専門とする相場博明教育実践学研究所長が昨年から研究を進めた。個体は雄で、頭部のない状態で体長約4ミリ。ムカシアシナガアリ属の別種よりも小さい腹部、極端に長い太もも、羽の模様などの特徴から新種と判断。採集者にちなみ「タネムラムカシアシナガアリ」と名付けた。日本古生物学会の国際学術誌に論文が掲載された。同属の化石は世界で22種見つかっているが、欧州が中心で、東アジアでは中国の2種、国内は1970(昭和45)年に報告のあった長崎県の1種のみだった。猪瀬主任学芸員は「恐らく東アジアにたどり着いたのは1種程度。土地に合わせて変化したはず」と指摘。「このアリの分布、進化の歴史をたどる上で重要な資料であり、昆虫がどのように進化していくのかを示す一つの例になる」と発見の意義を語った。雄のアリは、春に繁殖のためにしか生まれないことから、化石が発見された地層部分は春と特定された。地層の季節が分かるのは珍しく、さらに地層や化石を調べることで、太古の会津の気候の解明につながる可能性があるという。布沢層は海の地層とみられており、今回のアリを含めて見つかる化石の多くは保存状態が良好という。猪瀬主任学芸員は「布沢層の知名度はまだ低いが、さらに研究を進め、化石産地としての会津を知ってほしい」と話している。今回発見した化石は25日から県博で展示する予定。