福島のニュース
樹勢が衰え、花をほとんど付けなくなったため、回復プロジェクトが行われている合戦場のしだれ桜(二本松市)に、新たな根が育っていることが分かった。根の生育は樹勢回復の兆しで、樹木の治療に努めてきた地元保存会などによる土壌改良の成果が表れ始めた。関係者は、再び枝いっぱいに満開の花を咲かせる姿に期待を寄せる。合戦場のしだれ桜は推定樹齢約200年のベニシダレザクラ。2本が立ち並び、二本松市の天然記念物に指定されている。2014(平成26)年ごろから枯れ枝が目立ち始め、次第に勢いに陰りが出てきていた。異変が起きたのは2023(令和5)年。通常は枝の葉が11月ごろから少しずつ落ちていくが、この年は9月ごろに一気に落葉してしまった。危機感を募らせた保存会と岩代観光協会、地元有志は翌年、樹勢回復プロジェクトに乗り出した。地元の企業や住民などから寄せられた約860万円の善意を元手に、極端な暑さや寒さから幹を守り、害虫を防ぐ「こも巻き」を施した。樹木医の指導で桜の根が張る土の環境が悪化しているとみて、毎年少しずつ土壌改良資材や腐葉土、粉炭などを混ぜ込んだ。進[しん]捗[ちょく]を確かめるため今年1月に掘り出すと、新しい根が伸びていた。樹木医によると、枝と根の量は比例するため、根が増えれば枝も回復に向かう。根が活性化してから数年後に枝の回復が見られる可能性がある。合戦場のしだれ桜は、地域に農作業の始まりと春を告げてきた。ピーク期は10万人が訪れたほどの観光名所の代表格だった。辺り一帯にはしだれ桜の子どもの桜が立ち並び、毎年美しい花を咲かせるが、地元住民や花見客らは主役の復活を心待ちにしている。岩代観光協会の移川直弥事務局長は「お世話になってきた木を、何もしないで枯らすことはできなかった」と思いを込める。保存会の山崎清志会長は「何とか希望が見えてきた。皆さんの善意のおかげだ」と目を細める。土壌改良が実るのは、少なくとも5年は必要という。しだれ桜が本来の輝きを取り戻すまで地域の努力は続く。

